短編
□理想の恋人
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「いやぁぁぁああ!!」
安室透と付き合うことになって、同時に同棲が始まり、一週間が過ぎ、大変なことが起きた。
「どうしたんですか!?」
「た、たた、た……さささ、ささ、………うわぁぁああん!」
洗面所で泣き崩れるナマエ。その足元には体重計が……。
何となく察した安室だったが、どう声をかけたらいいか悩みに悩んで本音を言ってしまった。
「ナマエさんはもう少し増えても問題ないでしょう?その方が健康的でいいと思いますよ。」
「!あ、ああ、あむ、安室さんのバカぁぁぁああ!!」
ナマエは家を飛び出し走り去った。この時安室はナマエの『バカ』という言葉に、一瞬だけキュンとしてしまった事にショックを受けて追いかけることができなかった。
「ハッ!ナマエ!待ってください!」
行き先など考えいたわけではないが、がむしゃらに走った結果、何故か工藤邸で呼吸を整える事になっていた。
「落ち着きましたか?」
「はい。お手数をおかけしてしまいすみません。」
「いえいえ、家の前であなたが呼吸困難になっていたので助けただけですよ。気にしないでください。」
こう、言葉で言われると自分のしたことが情けない。よそ様の家の前でなんて迷惑なことをしてしまったのか……。
「本当にすみません。」
「それより、何があったんですか?誰かと喧嘩でもしたんですか?」
ギクッと身体が素直に反応してしまう。声に出さずとも正直だ。隠すことを諦めたナマエはあったことを包み隠さず沖矢昴に話してしまった。
「そうでしたか。女性は数字が気になるんですね。フォローするわけではありませんが、男性からしてみたらそのくらいなら問題ないようにも思いますね。」
「お、沖矢さんまで。」
「でも、どうして増えたんですか?」
「そ、それは………。」