チビー's(長編)
□可愛いは正義
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「二人とも迷子にならないように手をつないでください。」
「こどもあつかいしないでください。」
いや、貴方今の見た目子供ですから。人ごみにのまれちゃったら見つけるの困難ですから。内心ではそう思いつつも、彼らのプライドはなかなか折れてくれない。仕方なしに秀一君を見れば、彼は彼で手をポケットに入れていて手をつなぐ気はなさそうだ。どうしたものか。考えても仕方がないので、できるだけ彼らから目を離さないようにしているしかない。
と、思っていたのが10分前のことである。
案の定、彼らを見失った。10分探したが見つからない。もしかして元の居場所に戻った?などと期待半分責任転嫁半分で考え込んでいた。
ピンポンパンポーン
{迷子のお知らせです。米花町からお越しのミョウジさん。お連れ様がインフォメーションにてお待ちです。至急お越しください。}
ちょっと待て!何で私が迷子になってんの!?
{繰り返しお知らせでs「繰り返さんでいいわ!!!!!直ぐに行くっつーの!!!!」
急いでインフォメーションに行けば、愛想笑いを振りまいて綺麗なお姉さんと話し込んでる安室透と、通り過ぎる人を観察している赤井秀一がいた。…何なのこいつら。ちょっと説教してもいいですかね?
「この子たちのお連れの方ですか?」
「はい。ご迷惑をお掛けしてすみません。」
「いえいえ、迎えに来ていただけて良かったです。」
「え?」
「この子達、ここに来た時すごく落ち込んでいて、名前も教えてくれないし!一緒に来た人の事も話したがらなくて、‘言う事を聞かなかったから捨てられたかもしれない。’何ていうものだから心配しましたが、走って迎えに来た姿を見て安心しました。」
どんな説明の仕方したのか、小一時間問い詰めたい。インフォメーションのお姉さんなんて、私が幼児虐待してるんじゃないかと疑っていたようだ。帰ったら説教決定だな。
口元を引くつかせながら二人を見た。一瞬ビクッとしたけど、いつもの太々しい顔で小さな手を差し出してきた。
「あなたがまいごになると、こっちがこまります!しかたがないから、てをつないであげます。」
「…」
ツンデレ発揮の安室透と、無言だけどどこかバツの悪そうにしている赤井秀一が左右で小さな手を私に差し出している。………何コレ、可愛い。
一瞬でさっきまでの怒気が自分の中から消えた。インフォメーションのお姉さんたちもキャアキャア言ってるよ。わかります。その気持ち。可愛いは正義!!ですよね。
私は一つ息を吐き出して右手に透君の手、左手に秀一君の手をとった。
「無事で良かった。」
お姉さんたちとお別れして、その後は手をつないだまま水族館を堪能しました。
おまけ
「ところで。何で私が迷子になってんのかな?迷子は君たちだよね?」
「「!!」」
幼児虐待疑惑とともに小一時間しっかり説教いたしました。