マーブル《シーズン3》

□殺気を当てられた
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バカップルよろしく、公園で仲良くベンチに座っていたけれど長くはなかった。安室さんの携帯が着信音を鳴らしたからだ。



「ちょっとすみません。すぐに戻りますので、ここで待っててください。」



安室さん大変だよね。トリプルフェイスだもんね。しかも私のことを世話しなきゃいけなくなって、さらに大変になったよね?早く本当のこと言えれば良かったんだろうけど。ごめんなさい。



申し訳ないと思いながらも本当のことを言えない私は、俯きながら安室さんの帰りを待つ。その時…。



「なまえ!」
「!!」



安室さんに抱きつかれベンチから転がり落ちた。すぐに体制を持ち直した安室さんは銃を公園の入り口に向けて構えていた。何が起きたのかわからなかった。けれど、安室さんの腕から血が流れていたと言うことだけはわかった。



私を庇って、安室さんが怪我をしたのだ。安室さんの背中に庇われよく見えなかったけれど、入り口には確かに人影があって、一瞬目があった。物凄い殺気を込めて、私を見ていた。



犯人が立ち去り安室さんは追いかけることを諦め私のことを心配する。



「なまえ!怪我はありませんか?」
「私は、大丈夫です。でも、あ、安室さんが、怪我して、」
「僕は大丈夫です。かすり傷ですよ。」
「て、手当て、しなきゃ。血が…」
「落ち着いてください。大丈夫ですから。」



殺されかけたことや、安室さんが怪我したこと、殺気を当てられたことでパニックを起こしかけていた。とても冷静ではいられない。あの夢が正夢になってしまう気がして、怖くてたまらなかった。



本当のことを言ってしまいたい。記憶が戻っていること。私は初めから犯人を知っていたこと。もう、終わりにしたい。



何もかも投げ出したい。



「大丈夫ですよ。心配しないでください。だから、自暴自棄にならないでくださいね。」



カタカタと震える私を抱き締めて、ゆっくりと背中を撫でられる。安室さんの体温が震える体にじんわりと浸透する。



やがて震えが止まる頃には、私は安室さんの腕の中で意識を失っていた。
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