マーブル《シーズン3》

□照れる!
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「あんたさ、何か特技あったっけ?」
「は?特技?」
「うん。実はバレエやってたとか、ピアノ弾けますとか。」
「バレエもピアノもできないよ。」
「ええ〜。自己PRは必須だよ!なんかないの?一発芸?」
「特技を一発芸と言っちゃうあたり、私あんまり期待されてないよね?」
「何何何何!?なんかあっと驚く一発芸あるの!?」



レッスンが終わって夕飯を一緒に食べているときの会話だった。ちなみに夕飯は私の家で食べてます。なぜか友人がウチに入り浸っている。解せぬ。



私は人に見られたくないあれやこれが収納されている押入れから一つの楽器を取り出した。



「何これ、クラリネット?」
「違うわ!サックスだよ。」
「吹けるの?」
「まあね。」
「ちょっとちょっと!そんな特技あったの!?」
「んー、でも、最近吹いてないからどうだろう。自己PRには弱いかな。」
「じゃ練習あるのみ!!ちょっと今から吹いて見てよ!」
「いや、ここじゃ無理。壁薄いし、音漏れしちゃうと近所迷惑になるから。」
「なら、何処なら良いの?」
「公園行ってみる?」
「よっしゃ!行こう!!」



深夜の公園にあまり良い思い出ないんだけど、友人も一緒だし、防犯ブザー持ったし、懐中電灯持ったし、大丈夫かな?



たまに手入れはしてたから、楽器は大丈夫だと思うけど、吹けるかな。



「なんか吹いて見て!」



友人からの期待に応えられるかわかんないけど、いっちょやって見ますか。



♪〜〜〜〜



「………。どうだった?」
「……………い。」
「へ?」
「凄い!私楽器に詳しくないけど、凄かった!!他には!吹けるのないの?」



友人の褒め言葉に調子に乗った私は、その後5曲も披露して、拭き終わった時には深夜の公園に人だかりができていて、たくさんの拍手をもらいました。…何これ照れる!
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