マーブル《シーズン3》
□オコなの!?
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「その姿も素敵ですが、目立ちますので着替えてきてください。」
なまえをミスコン出場者の控え室に半ば強引に押し込んだ。
なまえがミスコンに出場することを知ったのは偶然だった。ほぼ1ヶ月、なんの連絡も取らなかったなまえが気になり、彼女の通う大学前を通ったら今日は学祭の日で、学祭の目玉、ミスコンのチラシを大学生からもらった。そのチラシには出場者の顔写真と名前が載っていて驚いた。
あまり目立つことを好まないなまえがミスコンに出るなど信じがたいが、見てみる価値はあると思った。半分は単なる好奇心だが。
ミスコンが始まり出場者が壇上に上がる。贔屓目なしに、この時点でなまえの優勝は決まったと思った。他者を寄せ付けない優美な姿。自分が一番綺麗に見える角度と姿勢を熟知している。他の出場者も引けを取らないが、彼女らの不幸は、今大会になまえが出場してしまったことだろう。
なまえと目が合った。ほんの一瞬だけいつものなまえが顔を出したが、スーッと視線を逸らし何事なかったかのように笑顔を見せる。
ずっとなまえを見ていたら、再び目が合った。今度は数秒間しっかりと、目線で“なんでここにいるんですか?”と問いかけられていた。なまえは面白い。思っていることがすぐに顔にでる。俺は沖矢昴の笑顔で笑い手を振った。なまえは再びスーッと視線を逸らした。
くつくつと笑いが漏れる。恥ずかしいのか、戸惑っているのか、視線がキョロキョロと動く。おそらく少年探偵団を探しているのだろう。だが、残念なことに、今日は一人だ。
出場者の自己PRが終わり控え室に戻って行った。会場内の観客が何番の子が良いと話している。もちろんその中になまえも入っている。
こんなとき、彼女との年齢差が疎ましい。彼らは今後も大学内でなまえと接点が持てるが、俺はそうもいかない。沖矢昴は大学院生という設定ではあるが、実際は大学には通っていないし、そもそも、大学が違う。こんなガキになまえを取られると思うと、はらわたが煮えくりかえる。
やはり、ここは、先手を打つべきだろう。
そんなことを考えていたら、予想通りなまえは優勝し、推薦人と名乗る女性とともに学生に囲まれていた。
気安くなまえに触ってもらっては困る。彼女は俺がもらう。見せつけるようになまえを抱き上げ会場を出て冒頭に至る。