選択
□泊まる
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いや、これもう無理でしょう。だって吹雪だよ?遭難するって。
「お、お言葉に甘えて泊まらせてください。」
ご飯ご馳走になって、雪のため泊まらせてもらうことになりました。
お風呂お借りして、安室さんのシャツをお借りして、彼シャツ(彼氏ではない)を実践する日が来るなんて…。なにこれ、ブカブカすぎる。袖とか裾も大きいんだけど、一番は首回りだよ。デコルテバッチリ見えちゃうんでけど?ちょっと屈むとチラリどころかマルッと見えちゃうんじゃ??しかも、ズボンが大きすぎて裾引きずるし、ウエストも大きくて油断すると落ちるんだよ。もう、どこ抑えたら良いのかわかんないんだけど?
少し悩んでズボンは諦めた。履きたかったよ?履きたかったけど、無理だったんだよ。シャツが大きいからワンピースみたいになってるから大丈夫だと思うし、目に毒ならハーパン借りよう。そうしよう。と、リビングに戻って行った。
「お風呂ありがとうございます。シャツお借りしました。」
「お湯加減大丈夫でs…!!」
安室さんがフリーズした。振り返って目があったと思ったら、カチンと固まった。
………あ、私スッピンだ。安室さんの前でスッピン見せるの初めてだったっけ?え?もしかして、スッピンがショックだったの?それはそれで私がショックなんだけど。
「……んで。」
「はい?」
「なんで下履いてないんですか!?ちゃんと用意しましたよね!?危機感無いんですか!?無防備にも程がある!」
「え?え!?」
ツカツカと距離詰められて背中に壁………ドンッ!
期待を裏切らない壁ドンきたー!!!
「誘ってるんですか?」
「誘ってません。」
数秒の睨めっこの後、安室さんは盛大にため息を吐き出した。
「貴方って人は、僕以外の前ではそんな格好しないでくださいね。特に、どこぞの大学院生の前では。」
「それってすばr「僕の前で他の男の名前も言わないでください。」……はい。」
無茶振りだけど、おとなしく返事はしておく。だって安室さんの目が本気なんだもん。怖すぎるよ。って言うか、そもそも安室さんの家に泊まることになったのは偶然で、私のサイズの着替えがないのは仕方ないことだと思うし、逆に、私にぴったりの着替えがあったら引く。
「ところで、そろそろ離してもらえませんか?」
いつまで壁ドンしてるんですか?最近壁ドンに抵抗もトキメキもなくなってきたんですが。どうしてくれるんですか?今更初々しい反応とか無理なんですけど。イケメンにも耐性がついてきて、トキメキもドキドキもないんですけど。
安室さんはジーと私を見てスッと目を細めた。
あ、なんか嫌な予感。
その予感は的中してしまった。首筋にチュッと音を立てて吸い付きやがりました。
「ぎゃあ!!な、なな、な、なに、なにしてルンですか!!?」
「最近この距離では反応が薄くてつまらないので、ちょっとイタズラしました。虫除けも兼ねて。」
「はぁ!?」
誰だよ!ドキドキしなくなったなんて言った奴!私だよ!!今メッチャドキドキしてますよ!!心臓が壊れたんじゃないかないかな!?え?私死ぬの!?
「僕も男なんで、そんなに無防備にされると我慢できなくなってしまいますよ?」
そこは理性と根性で我慢してください!!!
真っ赤になって口をパクパクさせることしかできなくなった私を見て満足したのか、安室さんはようやく私を解放してくれた。
「貴女はベッド使ってください。それとも、続きをご所望なら一緒に寝ますか?」
「ベッドお借りします!!お休みなさい!!」
ダッシュでベッドに潜り込んだ私を見て安室さんはクスクス笑っていた。前言撤回。私まだイケメンに耐性なんて付いてなかった。そしてイケメンは危険だと言うことも再確認した!
近くな危険!!イケメン見たらダッシュで逃げろ!と心に刻んだ。