祝!50万人突破記念!!
□揶揄い方
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資料室内を探したが脚立はなかった。でも、パイプ椅子を見つけた。……うん。これなら手が届く。
パンプスを脱いでパイプ椅子に登り資料の入ったダンボールに手を伸ばした時だった。
後ろから伸びてきた手が私の手を掴んだ。
資料室には私一人だったはず。驚きすぎて声が出なかった。悲鳴すら上げられず身体が硬直した。婦人警官の制服は着ているが、身の危険が迫った時にこれでは警官失格ではなかろうか?と、後から反省するとして……問題はこの状況を把握する事だろう。
ゆっくりと振り返れば、サングラスを外した松田陣平が私を見上げていた。パイプ椅子に乗っているからいつもと違うアングルに動揺する。
「俺がとる。」
「え?……あ、はい。」
言葉が短くなんのことを言っているのかすぐに理解できなかったが、資料のことだと思い至り私は素直に椅子から降ようとした。
パイプ椅子の上から降りようとした時、なぜか私の両脇の下に松田陣平の両手が差し込まれた。え?と、思った時、私は松田陣平に持ち上げられていた。
……は?
子供を抱き上げるように私を持ち上げた松田陣平の怪力に驚けばいいのか、恥ずかしがればいいのか頭の中は盛大にパニックに陥っている。
でも、それよりも……なにこれ、怖い!!!
人間、誰だって突然持ち上げられたら怖いと思う。だから、私が無意識に松田陣平に縋るように抱きついたのは恐怖からくる条件反射的なもので、心臓のドキドキも怖かったからで、決して松田陣平にトキメイたわけではない。……はず。
「お、降ろして、ください!」
「お前、結構……。」
結構、なんだ?何が言いたいのかな?重い、なんて言ったらぶっ飛ばすよ?
その後の言葉は続かなかったけど、資料が入ったダンボールをとってくれて、しかも運んでくれたことは素直に感謝します。でも、私を抱き上げる必要はなかったはずだ。……まだ、ドキドキしてる。不整脈で死んだら化けて出てやる。