マーブル(番外編)

□俺は何を考えた!?
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2度目の爆発で水槽が割れた。


一気に流れ込む水に僕たちは押し流されてしまった。


水面に上がればナマエの姿が見当たない。


「ナマエ!?」


呼んでも返事がない。もしまだ水の中なら早く助けださなければ。ちょうど浮かび上がって来たペットポトルに酸素を入れて潜れば、真っ赤なフェラーリに捕まっていた。……その車体の色に憎悪が湧く。


色だけでも腹がたつのに、ナマエを捕まえ離さないなんて、どこまでもムカつくフェラーリだった。


パニックになっていたナマエだったが、僕の姿を見て少しばかり落ち着きを取り戻したように見えた。ペットボトルの酸素を与え、何とか車を動かそうと試みる。


赤い車になんてナマエを取られてたまるか!


渾身の力を込めてほんの少し動かすことができた。が、ナマエの足が抜けることはなく、逆に僕の足が捕まってしまった。…クソッ!だから赤の車なんて!!


グッ……。車を動かすのに力み過ぎてのか、思った以上に保たない。


ナマエ、せめて君だけでも助けたかった。………!?


もうダメかと思った瞬間、ナマエが僕の頬に手を添えて、自ら唇を合わせてきた。


思わず目を見開いてしまった。唇が離れるとナマエはフワリと笑った。


俺は何を考えた?もうダメだと?そんなわけにはいかない!俺にはまだやらなければならない使命も、守るべきナマエも、何も果たせてないじゃないか!


諦めてたまるか!絶対に守ってやるんだ!!
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