マーブル《シーズン3》
□冗談を言っているようには見えなかった。
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「停電?」
「すぐに非常灯が付くはずですし、おとなしくしてましょう。」
「あれ?化粧台の下、明るいですよ?」
「蘭ちゃん!!ダメ!!」
とっさに蘭ちゃんを突き飛ばしたけど、化粧台の下から懐中電灯が転がり落ちた。
「佐藤刑事!!!」
犯人が発砲した拳銃が化粧室に被弾する。水道の蛇口に当たり水が吹き出た。
倒れこんで来た佐藤刑事を受け止めて入口の方を見れば、犯人が拳銃を私の頭に向けていた。
「ぁ…」
恐怖で息が止まった。思考も動きも全て停止してしまった。犯人がニヤリと笑った顔だけがスローで見えた。
拳銃の引き金を引く瞬間、私は佐藤刑事に頭を抱きかかえられそのまま倒れこんだ。
最後の一発はどこに命中したんだ?
暗闇の中、私は何かに必死にしがみついていた。
早く、早く非常灯が付いてくれ!願いが通じパッと明るくなった瞬間、化粧室の惨状に眩暈がした。
「ぁ…ぁ…」
思い出した。今更、何で。
「きゃぁぁぁあああ!!」
蘭ちゃんの悲鳴が聞こえる。蘭ちゃんは大丈夫そう。佐藤刑事は、どこ?視線を下げて自分が無意識に縋り付いていたものの正体を知った。
「さ、さとぅ…けぃじ?」
真っ赤に染まった佐藤刑事を見て、あの時撃たれそうになった私を庇ったのだと理解した。応急処置は?止血しなきゃ?そう思っても体がピクリとも動かない。
「ぁ…っ…」
「なまえさん!!しっかりしてください!!」