マーブル《シーズン3》
□キイテナイヨ?
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『なまえ』『なまえさん』『なまえおねーさん』
私を呼ぶみんなの声が聞こえる。でも、どこにいるんだろう?声は聞こえるのに、姿が見えない。と言うか、暗くて、ここは、何処?
パァン
乾いた破裂音がして、パッと明るくなった。
目の前には赤い水たまりがあり、ドロドロとこちらに流れてくる。赤い水たまりの正体は………大切な人たちから流れ出る、血。
「いやぁぁぁぁああ!!」
気が動転して両手両足をバタバタとガムラシャに動かしてベッドの上で大暴れしていた。
「なまえ!」
すぐそばにいた安室さんが私を強く抱きしめた。
「大丈夫!もう怖くない!俺が守るから!大丈夫!」
何度も安室さんの大丈夫って言葉が聞こえて、私はようやく目が覚めた。
夢、だったらしい。…夢で、良かった。安室さんに抱きしめられて、心臓の音に耳を傾ける。生きている証の音が私を安心させてくれる。
「ごめんなさい。」
「いえ、それよりも記憶が戻ったんですか?事件のことを思い出したのかと…。」
「怖い夢を見たんです。安室さんや子供たち、蘭ちゃんや沖矢さんが血だらけで、倒れてる、夢を…。」
「大丈夫ですよ。僕も子供たちも蘭さんもみんな無事ですよ。だから、安心してください。」
「でも、血がたくさん流れてて、」
「夢ですよ。大丈夫。それよりも先生を呼びましょう。」
問答無用で風戸先生呼び出した。簡単な質疑応答、と言う名の診察を受けて、結果は確定ではないが記憶が戻ってきているのかもしれない。と言われた。
いや、戻ってるんだけどね!
って言うか風戸先生の顔まともに見れない。だってこの人だよ?佐藤刑事撃ったの。犯人がわかるって、やっぱり怖いな。近づきたくない。態度に出ないように気をつけてるつもりでも、やっぱり目を合わせることはできなかった。