月の王子様
□0
1ページ/2ページ
終わった。連日、休日返上で取り組んだ仕事がようやく終わった。
寝ても覚めても仕事仕事で、ゆっくり休むこともできなかった。明日は1日寝よう。そうしよう。
とにかく寝たかった。ベットに入って暖かくして、目覚ましもかけずに、寝たかった。
頭の中にはもう、ベッドで休んでいる自分しか想像できなかった。
なのに、これは、一体どういうことだろう?
目が覚めたら、知らない男の人が隣で寝てた。
ぅえ!?ふ、服は!?…一応着てる。セーフか?いや、男の人を持ち帰ったらアウトだろう?
いや待って、昨日は仕事が終わって、会社出て、電車に乗って、最寄駅で降りた。そのあと、コンビニに寄って、ビール買って…月が綺麗で……公園で飲んで………、ヤバい。記憶がそこで、お亡くなりになったわ。うわー。ここって私の家だよね?って事は、私が彼を持ち帰ったんだよね?
「んー。寒い。」
「わっ!」
名前も知らない男の人にベッドの中から抱き寄せられた!?がっしりホールドされてるし!でも、苦しくはない。むしろ人肌が心地いい。
…いやいやいや、待て待て待て、早まるな!!見ず知らずの男性だぞ!?いくらイケメンでも、もう少し危機感持て!私!!
細身に見えて意外とたくましい体をパシパシと叩いて、男の人を起こす。とりあえず解放してもらわなきゃ。
「あの、起きてください!」
何度か声をかけると「んー。」と一応目を開けてくれた。良かった。
「あの、離してください。」
「んー?何で?」
「何でって…」
「寒いし…それに、今日休みなんでしょ?もう少しこのまま寝よ?」
「へ?わっ!ちょっと!?」
身体がぴったりとくっつくほどに抱きしめられた。恥ずかしい、なんて呑気なことを言ってる場合じゃない!!
って言うか、あなたは一体誰なんですかー!!!