短編

□イケメンは何をやってもかっこいい
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最近気になる人がいる。休日のモーニングを食べにその店に行けば80%位の割合で会えると最近知った。店の扉を開けるとカランカランとドアベルが鐘を鳴らして彼は振り返る。この瞬間が私は好きだ。



「いらっしゃいませ。ナマエさん。カウンターとテーブル席どちらにしますか?」



休日の常連となった私の名前を憶えてくれた。それだけで私は舞い上がる。



「カウンターでお願いします。」
「こちらへどうぞ。」



さりげなく椅子を引いてくれる。ここは本当に喫茶店か?ホストクラブの間違いじゃないだろうか?などと馬鹿なことを考える。それだけ、彼の、安室さんのエスコートがスマートなのだ。



テーブル席では味わえないこの動作に私は一人浮かれている。



「モーニングでいいですか?」
「はい、飲み物は温かいコーヒーでお願いします。」
「今朝はだいぶ冷えますからね。すぐに用意します。少々お待ちください。」



暑かった夏が終わり、朝晩が冷え込み始めるこの季節、それでも私は寒さに負けずに安室さんに会いに来る。雨が降ろうが雪が降ろうが隕石が降ろうが、きっと私は会いに来る。



なんだかストーカーみたいだなと思ってしまった。もしかしたら私はその予備軍なのかもしれない。安室さんに迷惑を掛けなうように気を付けよう。私はただの常連客。



「お待たせしました。ハムサンドとコーヒーです。」
「わぁ、今日もとってもおいしそう!いただきます!」
「ごゆっくりどうぞ。」



ニコニコと笑って対応してくれる。私このために一週間頑張ってる気がする。・・・幸せだ。



モッキュモッキュとサンドウィッチを頬ばているとカウンターから視線を感じた。顔を上げると安室さんと目が合った。は、恥ずかしい。いい年した女がハムサンドを頬張る姿なんて、品がなかっただろうか?



「ああ、すみません。食事中の女性を不躾に見てしまって。でも、ナマエさんとてもおいしそうに食べるから、僕も嬉しくて、つい。」



少し照れながら話す安室さんもかっこいいですね。今日の私はついているのかもしれない。いろんな安室さんの顔を拝めて幸せだ。
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