チビー's(長編)

□見た目は幼児、中身はアラサー
1ページ/3ページ

 翌日、目が覚めてリビングに行けば、布団で寝ている安室透とソファで寝ている赤井秀一がいた。昨夜のことはやはり幻覚でも幻聴でもなかったらしい。さて、どうしたものか。とりあえず、朝食でも作るとしますか。


 そう言えば、昨日は自分のことで頭がいっぱいだったけれど、彼らは爆発に巻き込まれて気が付いたらここにいたと言っていた。見た目にはケガをしている様子はないが、一応確認をしておいたほうが良いか。それから、今後のことについて話し合わねば・・・。話し合いと言っても、もうすでにどうするのか決まっているようなものだが。一晩泊めてしまえば二晩も10晩も、それ以上になったとしてもどうでもよくなってきた。願わくば、私の秘密に気づく前に元の世界に帰っていただきたいものだ。ベーコンとスクランブルエッグとサラダ。インスタントのコンソメスープを用意して二人の幼い容姿をした大人たちを起こすことにした。


「二人とも起きてください。朝ご飯にしましょう。」


 赤井秀一は私の声に反応して目を開けたものの、ぼんやりとしていてまだ半分夢の中にいるようだ。そして安室透は、布団を頭からかぶりミノムシになってしまった。・・・え?なにこれ。まだ起こすなってことですか?朝弱いのか?


「朝だけど。昨日寝るの遅かったし、もう少し寝ますか?」


 ポンポンと布団を軽くたたきながら様子を見ていると布団から顔を出した安室透が


「子どもあつかいしないでください。僕はもうせいじんした大人の男です。」


 ・・・なんだこの可愛い生き物。大人の男は布団にくるまって顔だけ出してうとうとしながら反抗しないと思うんだが?彼氏がいたことないから、男に夢見すぎか?ま、いいや。そのままポンポンと布団をたたいていれば安室透の瞼は再び下がってすぅすぅと寝息が聞こえた。


 赤井秀一はそんな安室透の姿を見て「ホー」と言ってからスクッと立ち上がり顔を洗いに洗面所に行った。が、すぐに戻ってきた。


「すまないが、椅子を一脚借りる。」


 そう言って「うんこらしょどっこいしょ、」と運んで行った。・・・かわいいな。手伝おうかと思ったが、彼らは小さくなっても男だ。プライドもあるだろう。手を貸してくれと言われれば素直に貸すが、自分でできることは見守ろうじゃないか。・・・なんだか母親の気分になってきた。子供産んだことないけど。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ