チビー's(長編)

□情報不足
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赤井side





安室くんと留守番をすることになった。
事の発端は3時間前。ナマエは突然出かけると言った。どこに行くのかは教えてもらえなかった。俺たちは連れていけないとも言われ、安室くんは猛反発したが、決定が覆されることはなかった。



昼になり、用意されていた弁当を食べ、小説に手を出す。幼児になったからといって文字が読めなくなったわけでは無い。必要な知識もある。だが、身長が足りずにできないことも増えた。ただ、それだけだ。



安室くんは家中(手の届く範囲)を掃除しつつ、ナマエの秘密を探ろうとしている。よく飽きないものだ。



夕方になりそろそろ暗くなろうかという時間にナマエは帰って来た。ここ数日で少しやつれたように見える。俺たちのことが負担になっていなければいいが。彼女は自分のことをあまり話したがらない。



「おかえりなさい。」
「おかえり」
「ただいま。ごめんね。今日は留守番させちゃって。」
「いえ、きょうは、そうじをしていました!」
「え?あ、ホントだ。綺麗になってる。ありがとう。」
「んふふ、どういたしまして。」
「秀一くんは、暇してなかった?」
「ん、もんだいない。コレをよんでいた。」
「本、そっか、よかった。すぐ夕飯作るね。」



彼女が帰って来て、部屋が明るくなった気がした。安室くんとは基本話はしないし、口を開けば喧嘩になるので、熟年夫婦のようにお互いの空気だけを感じで過ごしていた。怒ったり笑ったり、感情が忙しい彼女だが、一緒にいて苦痛になることはない。むしろ、楽しませてもらっている。組織に関わってからこんなに心が落ち着くことなどなかったように思う。



どうしてこんなことになったのか、原因はまだわかっていないが、今の生活を楽しんでいるのは確かだろう。
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