Passare del tempo

□第1夜
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上を見上げれば、満点の星空が見える。
ビルやマンションの明かりなんて全くないから、いつもの夜空より綺麗な景色だった。




でも、此処は日本でもなくて、他の国でもない。





俺は、別な世界へ来たのだ。













『この世界で、俺は生きていけるのかな…』








「おぃ、お前…何モンだ?」







『えっと…マジでか』












えー…何故か、突如現れた少年
汚れた布で顔を隠して目しか見えない…というか、体中ボロボロな格好。




そして、この世界の武器と思われるモノを俺に突き付けてきた。



少年とは、身長差もありなんとなりそうだけど…







これは、危ない













「てめぇ、俺が言ってるのが聞こえてねェのか!!」




『いや、聞こえてるよ…というか…通じているのが嬉しいです…』



此処の言葉が話せるし、ちゃんと理解が出来てる。これは嬉しい。


それに・・・この少年・・・




「意味が分からねェこというんじゃねェよ!!」





『ははっ、そうだよな
俺だけ嬉しくなってごめんな?』




「…変な野郎だな…」






俺は何故か、この少年と話しているのが楽しく思ってる。



出会い始めは、『危ない、大丈夫か!?』なんて、思ってたのに…






今は、『懐かしいな』なんて、思ってる。










小さい頃の燐に似ているから。


毎日のように喧嘩をして、ボロボロな格好になり、癇癪を起こし、
藤本神父以外の大人には、いつも怖い顔で睨んでいた。




そんな燐と俺は一緒にいた。
そりゃ、喧嘩して殴られるのは痛いけど…のちに、それが魔障になった。




それでも離れないのは、燐が悲しい顔をする方がイヤだったから。




燐が笑った顔が、俺は大好きだったから。










だから、目の前にいる少年にも笑顔を見せて欲しいなんて思う。








「…ぃ…おい!!」




『うぉっ…っと、どうした?』




「俺の話を聞いてねェのかよ!!!
ニヤニヤした顔で、俺の顔を見てんじゃねェーよ!!



俺は、暗殺集団シャム=ラシュの筆頭だぞ!!
殺されてェーのか!!」




少年の持つ武器(赤い縄に繋がれた先には刃物)が、俺の首筋に当てられた。





首筋からタラーッと血が流れる。






「オィ…お前…死ぬのが怖くねェのかよ!?
死ぬんだぞ!!!!」




『…怖く無いし、俺は死なないから平気』






「・・・は?何を言ってるんだ?」




少年は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で見てくる。武器もいつの間にか下ろされていた。





『あー…うん、説明するわ
立ち話もなんだから、座って話さないか?』





「…は?…わかった」




少年は頷き、座り寝られそうな場所を一緒に準備した。
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