Short Novel

□・トッポの日
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今日、10月10日はトッポの日
・・・らしい

11月11日がポッキー&プリッツの日
なのは有名だけど、10月10日が
トッポの日というのは初耳だった





夜、仕事が終わってマンションに帰った
今日は美季ちゃんが泊まりに来る日で、
部屋の掃除なんかをして待っていた





暫くすると、インターフォンが鳴り、
ドアが開く音がした



「お帰り美季ちゃん」

「義人くんただいま」

「・・・その袋どうしたの?」



見ると、彼女の腕には大きな紙袋が一つ
下がっていた



「これ?これ中身は全部トッポだよ」

「トッポ?何でそんなにいっぱい?」

「番組で貰ったの。なんでも、今日は
トッポの日らしくて・・・でも、1人じゃ
食べきれないから、お裾分け。よかったら
Waveのみんなにでもどうぞ」

「ありがとう」



10を『とう』と読んでトッポか・・・
言われてみればそうかもしれない

なんて考えていると、美季ちゃんが
袋からいくつか取り出して、机の上に並べていた



「・・・なにしてるの?」

「一緒に食べようかと思って出してみたんだけど・・・どれがいい?」



机に視線を向けると、甘いものがあんまり
好きではない俺でも、食べられそうな
種類ばかりは並んでいた


「君の好きなのを一緒に食べよう・・・だから君が選んで」

「え?いいの?それじゃあ・・・」



どれがいいかなぁー
なんて真剣に悩む姿が可愛くて、
一瞬見とれていた



「うん!これがいい!」

「それはなに味?」

「ビターチョコだよ。これなら義人くんも好きそうだと思って」

「これは俺も好き。前に差し入れで貰って

食べたけど、美味しかったから」


早速パッケージを開いて1本取り出して
俺に差し出す
俺はそれを受けとると、美季ちゃんに
咥えさせた


「そのまま動かないで・・・」


反対端からポリポリと食べ進め、
最後は美季ちゃんの唇ごとぱくり

美季ちゃんは突然のことに顔が
真っ赤になって



「い、今のって・・・」

「こういうの、女子は好きなんだろ?」



今のはいわゆる、ポッキーゲーム
これはポッキーじゃないけど、
似たようなものだろう



「えっと、確かにそうだけど・・・」

「次は美季ちゃんの番」



美季ちゃんを俺の膝の上に座らせて、
顔を俺の方に向かせる



「早く」

「は、恥ずかしいよ・・・」

「キスならいつでもしてるのに?」

「それとはちょっと違うでしょ!」

「でも、似たようなもの。ほら早く」



美季ちゃんを急かし、俺はトッポを咥えた

ごくりと喉を鳴らして、ゆっくりとトッポの端をかじる
ゆっくりと食べ進め、だんだん顔が近づく

あと少しで唇が触れるところまで来ると
急に顔を離すので、後頭部に手を回し、
俺の口に残っていた分を彼女の口に
押し込み、キスをしてから解放した


「美味しかった」

「よ、義人くんっ」

「なに?」

「美味しかったじゃないでしょ!」



俺の膝の上で抗議する
だけど、俺にはそんなのお構い無し
唇を重ね、彼女を堪能する
俺にはお菓子よりも君の方が美味しいから

最後に唇をペロリと舐めた



「ん。うまい」

「もう!義人くんってば!!」



いつもしてるキスをしただけなのに、いつも以上に赤くなる



そんな彼女をみていると、今夜も歯止めが効かなくなりそうになるのは男の性(さが)か・・・

そのまま彼女を抱えあげ、寝室へ向かう


「義人くん?どこいくの?」

「寝室」

「お、降ろしてっ」

「いやだ」

「シャワー、まだ浴びてないよ・・・」

「俺は気にしないけど?」

「私が気にするの!」

「そんなの待ってられないくらい焦れてる
っていっても?」

「・・・っ」

「俺は早く君を食べたい・・・」



観念したようで抵抗するのをやめた

ここまで来ると、俺が待てないことを
彼女は知っているから


今夜も俺は、お菓子よりも甘くて芳醇な君をいただく
すぐに何も考えられないようにして
あげるから・・・



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