Short Novel

□・逃げられない
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私の彼はとっても策士な人だと思う


付き合う前から本の貸し借りはよくしていた
私が好きな作家さんはだいたい義人くんも
好きで、新作が出るといつも私より
先に買って、貸してくれる

そうやって私と会う機会、話す機会を
作ってた


付き合ってからもそう

いつだって、外堀を埋めてから私を迎えに
来てくれる


今夜だって、明日は早朝から仕事があって
早く家に帰らなきゃいけないと思ってたのに
いつの間にか義人くんが山田さんに連絡して
午前中がオフになったと連絡がきた


「せっかく君と過ごせるのに、ゆっくり
できないのはいやだから」


そういって、私との時間を作ってくれる
義人くんも忙しいはずなのに・・・


でも、私も義人くんと一緒に過ごせる時間が増えるから素直に嬉しい
仕事で会えない日も多いから、ゆっくり
過ごせる時間はとっても貴重


出来るだけオフは合わせて取るように
しているけど、そうもいかないことも
しょっちゅう




義人くんの家に泊まるのは久しぶりだから、今夜はきっと彼の腕の中で眠ることになる


彼に捕まったら最後、逃げることなんて
出来ない
むしろ、逃げようという気を無くすほど、
たっぷりと愛される





私は策士な彼の巧妙な罠にかかった子ウサギ


一生逃げることの出来ない愛という罠に
かかってしまった




・・・でも、最初から逃げる気なんて
ないんだけどね




そして今夜も子ウサギは、
策士な彼に食べられる


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