氷帝中心[SS]

□歪な愛情2
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 side.忍足

 最近の宍戸の乱れっぷりには正直驚いていた。加減をするともっと激しくとよがるし、罪悪感罪悪感と言いながらもしっかり自分の穴で受け入れている。

 「だいぶ堕ちたなぁ.. 」

 だが、最近は行為中、いつも何か考えているような気がした。やはりまだ心の隅には鳳の存在があるみたいだ。

 「せや、ええ事考えたわ」

 もう真実を伝えてみたら鳳も諦めるのではないか。大好きな先輩は寝取られていた、なんて聞いたらどんな顔をするだろうか。

 「なんやおもろなってったわぁ……」

 俺は下卑た顔で一人微笑んでみた。

 
 
 
 次の日、練習が終わると真っ先に鳳の方へ向かい、少し話せる時間はないかと交渉すると、俺と鳳と二人きりになる絶好のチャンスがやってきた。

 「どうしたんですか?忍足さん」

 目の前の相手は自分よりも背が高く、愛嬌のある可愛らしい顔をしている。これに宍戸は惹かれたんかと燻ぶる思いを隠しながら、「なぁ、宍戸のことどう思う?」と、聞いてみた。

 「宍戸さんですか?宍戸さんは努力家で、負けず嫌いで……」

 宍戸のことを出した瞬間、顔が晴れたん見たで。

 「あと、男らしいですね!それに、とっても頼もしいです」

 これが絶望の顔に変わるんか?ニヤけが止まらんわ。

 「宍戸さんは理想の先輩で……」 
 「知らんのか?俺がお前の大好きな宍戸とセックスした事」

 少し間が空き、目を見開いたまま数秒固まった鳳が、ようやく言葉の意味を掴んだのか「え……なんで……」と震える声で呟いた。

 「う、嘘ですよね……嘘って……」
 「嘘やないで?ほら、最近宍戸と一緒に帰れてへんやろ?鳳が一人で帰っとる時に俺と宍戸はセックスしとったんや……」

 鳳は目からボロボロと涙を流し、俺を見つめていた。

 「堪忍なぁ。そろそろ宍戸とセックスするつもりやったんやろ?宍戸のやつ、俺の初めてもお前にあげたい、やっけ?残念やけど、あいつの初めては俺が貰っとるんや」
 「そ、その会話……どこで聞いて……」

 おもしろい。

 目の前で憎い奴が泣いとる。無様で惨めや。おもしろい。

 おもしろい面白いおもしろい面白いおもしろいおもしろいおもしろい面白いおもしろい面白い…………!!

 「忍足さん……何故ですか?」
 「んー?」
 「何故……宍戸さんを……」

 涙で潤んだ目で睨みつけてくる鳳とは正反対な、余裕な笑みの俺……。なんだか今日はよく眠れそうな気分だった。
 
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