氷帝中心[SS]

□すべては思春期のせい
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幼い頃から、どちらかと言えば“異性”に興味が無かったと思う。それでも、中学生になるまでは女子と遊ぶことが多かった。外で虫を捕まえたり、ボールで遊んだり。普通の男子が遊びそうなことはあまり好きではなかった。ずっと、女子とおしゃべりをしたり、音楽室で一緒に楽器を演奏したり・・・。
優しい性格と可愛らしい見た目もあってか、鳳長太郎の周りには自然と女子が集まっていた。学校の休み時間の間は音楽室へ行ってピアノを奏でるのが当たり前になっていた。ピアノをしている時間はとても楽しかった。上手く弾けると見に来ていた女子がすごいね、すごいねと褒めてくれるから。だが、そんな少年を悪く思う者も少なからず存在した。

 「あいつ、オカマかよ」

 幼い人間というものは時に残酷だ。女子とばかりつるむ長太郎に対し、こんな言葉を吐いた。やがて、自分をオカマ扱いをする人数は増え、軽いいじめにあったりもした。オカマだからと、女子トイレに入るように強要された時に、助けてくれたのは幼馴染の日吉若だった。日吉は学年の中でも変わっていて、特殊な存在だった。日吉を敵に回すと危ないぞ、とまでも噂されていた。

 「おい、お前大丈夫か?」

 そんな彼が、手を差し伸べてくれた。教師にも親にも言えず、ずっと抱え込んできた。日吉が救ってくれたのが嬉しくて、思わず涙が溢れ出した。

 「ちょ、え、どこか痛いのかっ?」
 「ううん、痛くない・・・助けてくれたのが嬉しくて・・・」

 それからは、しばらく学校でピアノを弾くのはやめて、日吉とつるみ出した。日吉は優しい。そばにいて安心する。オカマだから日吉にへばりついてるんだろと言われても、日吉はその度に成敗してくれた。


 
 そんな、俺の過去
 
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