おはなし

□上下のお話/sk
1ページ/1ページ

紫Side

「お、俺が下だったの…?」

俺は今、抱こうと思っていた相手に突然、ふかふかのソファの上に押し倒された。
…俺が上だと思ってた………!!

シゲといわゆるお付き合いが始まったのは、今から4ヶ月位前のこと。
長い間一緒にいたせいで、なかなか素直になれない俺らだったけど他のメンバーも協力もあって、晴れて恋人同士になった。

それからは毎日が幸せで、恋人らしくキスをしたりいちゃいちゃしたり…色々なことをした。けど、まだそれ以上の一線は越えていない。
二人とも仕事が増え、なかなか合わなくなっていたスケジュールも今二人で話し合ってやっと合わせることが出来た。
もちろん、二人とも男相手は初めてなわけで、ネットで勉強もそれなりにした。
これでシゲを抱く準備はばっちりだぞ……!!
って、思っていたんだけど…
長い間の沈黙の後、最初に口を開いたのはシゲだった。

「嫌なの?」

「い、嫌ってわけじゃないんだけど…」

「じゃあ、何」

ほ、ほら受け身の方が負担多いっていうじゃん…!!
上としての準備なら、ね、してきたけど下としての準備はまだ出来てない…し。

「こ、心の準備が…!まだ、その…」

なんだか言っているうちに恥ずかしくなってきちゃって、顔が赤くなってくる。左手で顔を隠そうとする。けれど、それはシゲの右手に阻まれてしまい、叶わなかった。

シゲは、こっちをじぃっと見つめている。久々に近くで見るシゲの顔は、やっぱり整っていた。

(でも、シゲになら、いい…かな)
とか思ったりして。……でも、やっぱり,まだ

「は、恥ずかしい…よ」

「…」

3秒位の沈黙の後、シゲは下を向いてぷるぷると震えている。その耳はほんのり赤く染まっていて。

「…うの」

「??」

「なんでそんな可愛いこと言うの!」

「可愛いすぎるのもいい加減にしろよ!」

…へ?

「いつもいつもさぁ!そうやって煽るようなこといってきて!どうせ全部無自覚なんだろ?こっちがどれだけ我慢していることか…!!」

か、可愛いって……、え、
てか我慢って…
俺の顔がみるみるうちに赤くなっていく。もう、なにも言えなくなってしまって、口をはくはくさせていると、突然シゲに唇を奪われた。

「いい、よね?」

…否定なんて、できるわけがない。
口に出すと、変な声がでちゃいそうだったから首を小さく縦に動かす。
それを見たシゲは、満足そうに笑って。

「もう、待てないから。」

そう呟く彼は、あまりにも魅力的すぎて。
俺はもう、彼に身を委ねることしか出来なかった。

end…

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ