おはなし
□上下のお話/sk
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紫Side
「お、俺が下だったの…?」
俺は今、抱こうと思っていた相手に突然、ふかふかのソファの上に押し倒された。
…俺が上だと思ってた………!!
シゲといわゆるお付き合いが始まったのは、今から4ヶ月位前のこと。
長い間一緒にいたせいで、なかなか素直になれない俺らだったけど他のメンバーも協力もあって、晴れて恋人同士になった。
それからは毎日が幸せで、恋人らしくキスをしたりいちゃいちゃしたり…色々なことをした。けど、まだそれ以上の一線は越えていない。
二人とも仕事が増え、なかなか合わなくなっていたスケジュールも今二人で話し合ってやっと合わせることが出来た。
もちろん、二人とも男相手は初めてなわけで、ネットで勉強もそれなりにした。
これでシゲを抱く準備はばっちりだぞ……!!
って、思っていたんだけど…
長い間の沈黙の後、最初に口を開いたのはシゲだった。
「嫌なの?」
「い、嫌ってわけじゃないんだけど…」
「じゃあ、何」
ほ、ほら受け身の方が負担多いっていうじゃん…!!
上としての準備なら、ね、してきたけど下としての準備はまだ出来てない…し。
「こ、心の準備が…!まだ、その…」
なんだか言っているうちに恥ずかしくなってきちゃって、顔が赤くなってくる。左手で顔を隠そうとする。けれど、それはシゲの右手に阻まれてしまい、叶わなかった。
シゲは、こっちをじぃっと見つめている。久々に近くで見るシゲの顔は、やっぱり整っていた。
(でも、シゲになら、いい…かな)
とか思ったりして。……でも、やっぱり,まだ
「は、恥ずかしい…よ」
「…」
3秒位の沈黙の後、シゲは下を向いてぷるぷると震えている。その耳はほんのり赤く染まっていて。
「…うの」
「??」
「なんでそんな可愛いこと言うの!」
「可愛いすぎるのもいい加減にしろよ!」
…へ?
「いつもいつもさぁ!そうやって煽るようなこといってきて!どうせ全部無自覚なんだろ?こっちがどれだけ我慢していることか…!!」
か、可愛いって……、え、
てか我慢って…
俺の顔がみるみるうちに赤くなっていく。もう、なにも言えなくなってしまって、口をはくはくさせていると、突然シゲに唇を奪われた。
「いい、よね?」
…否定なんて、できるわけがない。
口に出すと、変な声がでちゃいそうだったから首を小さく縦に動かす。
それを見たシゲは、満足そうに笑って。
「もう、待てないから。」
そう呟く彼は、あまりにも魅力的すぎて。
俺はもう、彼に身を委ねることしか出来なかった。
end…