おはなし

□体質のお話/mk
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黄Side

「俺、好きな人出来たかも。」

久々に小山と二人きりになった楽屋。これといって話すこともなく、二人ともそれぞれの時間を楽しんでいた。
もうそろそろ出番…ってところで、突然、小山が口を開いた。

「…、なんで、俺?」

そういうことを相談するんだったら、特別なかのいいシゲだったり、さぞおモテになるだろう手越とかのがいいと思うんだけど。
俺、相談事とか苦手だし、アドバイスも出来ないのに。

「俺、なんもできないよ?」

「…うん。でも、なんかまっすーには話しておきたくて。」

「ふーん。」

…なんだそれ。
まぁ、それで小山の気持ちが楽になるんだったらそれでいいけど。
小山の体質のこと知ってるのも、俺だけだし。ね。
あぁ、でも、そのことは大丈夫なんだろうか。

「ねぇ、小山。」

「ん?」

「その体質?みたいのは、大丈夫なの?」

「あー…それが、最近また酷くなってきちゃって。」

はは、なんて笑いながら小山は言うけれど、それは一大事なんじゃないだろうか。

……小山は、他人に少し触れられるだけで反応してしまう超敏感体質の持ち主なのだ。
本人はばれないように隠しているつもりらしいけれど、結構ばればれだ。
…小山、危なっかしいかななぁ…メンバーには話しておけばいいのに。手越なんかとは、カップルと間違えるくらいにじゃれあっているんだから。

この前までは、素肌にちょっとだけ触れれば少し声が出るくらいだった。
その声だってはっきりしたものではなく、「…っ、」位のもの。

「…今、どんくらい酷いの。」

「えっ、とね、服の上からなら大丈夫なんだけど直接だと…ちょっと、」

最後の方は恥ずかしくなってきたのか、もごもごしていてよく聞き取れなかった。
そんな姿を見ていたら、なんだかいたずらしたくなってきてしまって。

そっと小山の方に近づけば、肩を少しだけびくつかせる。
最年長リーダーの癖に、小動物みたいだ。
そっと小山の右耳に触れ、撫でる。

「…っ、ん、ふっ」

「!?」

あまりに予想外の反応で驚いた俺は、ぱっと手を離した。
小山も恥ずかしかったみたいで、顔を真っ赤に染め口を両手で押さえている。
…。別に、可愛いとか思ってないし。
てか、今の小山だった?めっちゃ、女みたいな声…

「……い、まの小山…?」

ちらっと小山の方に目をやれば、さっき以上に顔を赤く染め耳まで赤くなっている。体をぷるぷると震わせながら、目尻には涙をうかばせていて、

「あ…ごめ、…」

「…っ、まっすーのばかっ!」

そう震えた声で吐き捨てて、走って楽屋を後にする小山。
それがなんだか面白くって。
たまにはいたずらするのもいいかもしれない。とか思ったりもして。

「増田さーん、出番でーす」

ちらっと時計を見ればもう5分前。
あとで謝っておこうか。……反省はしていないけれど。

「了解です。」

あぁ、たまには二人で飲みにでもいこうか。
………そういえば、小山の好きな人ってだれだったんだろう。今度聞いてみようか。

そんなことを考えながら、俺も楽屋を後にした。

end…?

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