□番外編
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・弁当




「お前らいーもん食ってんな」

紡の代理としてIDOLiSH7の付き添いに来たら、そのアイドル達は楽屋で弁当を食っていた

「さっきスタッフさんが差し入れでくれたんですよ!」

「へー」

美味そうに食うなあ陸は
鼻の頭に米粒付けるなんてなかなかできる事じゃないぞ

陸の米粒を取ってやり、人差し指についた米を払うためにティッシュに向けてピンと弾いたらあらぬ方向に飛んでいき三月の眉毛にヒットした

「ナイスショット」

「いやフォアーだわ!!」

「ロストボールレベルですね」

「なんだと壮五」

俺も三月も壮五もゴルフやったこと無いから使い方合ってるか分からないけど

手に取ったティッシュを差し出したら三月は自分で米粒を取った
やれやれと陸を見るとまた新たな登山者が陸の鼻の頭にいたので、もう米粒を取ったらそのまま陸の口に突っ込む


「こんな時間ですが名無しさんさんはお昼食べましたか?」

一織の言葉に時計を見ると、12時を過ぎていて確かに腹が減ったなと腹を擦る


「名無しさんさん腹減ってんの?これあげる」

「それ四葉さんが食べたくないだけでしょう…」

彩りの為に置いてある高菜を貰った
あー流石ご飯と一緒に食べる物だから高菜しょっぱい…


「名無しさん口開けろ」

チラリと目線を動かすと大和が添え付けのポテトサラダを差し出していた
本当はご飯が欲しかったけど…

1口で差し出された分を食べると口に広がるのはお惣菜特有の薄めの味



……暖かいポテトサラダの


「馬鹿お前これレンジに入れただろ!!」

弁当あるある
野菜類ごとレンジでチンする

できたてならともかくレンジに入れたポテトサラダは水分が飛んでる上に他の惣菜の味が染み込んでて不味い

「いやー処理班ご苦労」

誰が処理班か
笑顔の大和を睨みつつ大和が飲んでいただろうお茶を奪い、口直しに半分まで飲んでやる

怒る大和に笑う俺と、立場が逆になったと思ったら後ろにいたナギがポテトサラダを構えている
お、お前もレンジ入れたんか

しょうがないからとりあえずまた1口で食って、今度は大和の飲み物を全部飲み干す

「そういやお前らの名前、元は懐石弁当だったらしいな」

懐石弁当を食べられるくらいまで成長するようにと父さんが決めたとか
グループ結成時に紡が変えたらしいけど

「懐石弁当って実際どれくらい凄いの?」

「環が食ってるそののり弁3個買えるくらい」

「はあ!?超腹いっぱいになるじゃん!」

のり弁3個ならな。懐石弁当は1個だから腹いっぱいになるかは分からんが

「でも壮五は懐石弁当以上の物食ってたんだよな」

「そーちゃんいいよな」

三月の言葉にメンバー全員が羨ましいと壮五を見る
そんな目線を送られた壮五は、面倒な話題を寄越すなと俺を睨んだ
えっ俺が悪いの

「ひ、1人で豪華な食事より安くてもみんなで食べた方が美味しいんですよ!」

「いい事言って丸め込もうとしてグヘァッ」

とうとう俺の脇腹を刺した壮五
その手には弁当添え付けのプラスチックナイフが握られていて本気で俺にダメージを与えに来てたことが分かる

空いている手でフォークを掴もうとしている壮五を止めていたらナギが挙手をして言った

「ワタシは手作りのお弁当が食べたいです!」

「あ、オレも食べたい!」

ビニールシート敷いて外で食べたいよね〜と花を飛ばして話すナギと陸
この2人は身体の事情やその他諸々で過去に友達がいなかった組なので、こういう会話を聞くとなんとかしてあげなきゃって思ってしまう

俺と同じ事を思ったのか、三月が携帯で大人数で食べる弁当箱を検索している所で楽屋の扉からノックの音

「メイクさん来たから飯終了〜ほら歯を磨きに行け」

まだ食べ終わってないだの文句を言う奴らを無視して弁当にサランラップをかけていく
楽屋内の匂いもそうだが、こう近寄って弁当を見ると本気で腹が減ってくるな

「撮影終わりに弁当買いに行くか…」

「名無しさんスーパー行くのか?ならついでに醤油買ってきて」

「いや、叙々苑の弁当」

「貴様ら集まれェい!ここに不届き者がおるぞ!!」

大和の叫びでメイクさんを無視し、楽屋が戦場に変わるまであと3分
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