短夢
□【三國無双】頑張れ陸遜
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「ああ、名無しさん殿と任務なのですね」
興味無さそうにそう言葉を吐き捨てた彼は陸遜殿
なんだお前とメンチをきりたいが彼は俺より身分が上なのでグッとこらえとりあえずお辞儀だけしておく
「まったく…私も暇では無いんです」
陸遜殿はうんざりといったように首を降るが何故彼はここにいるのだろう
今日は前に報告があった町に近寄りすぎた虎を避ける任務…まあ虎狩りなのだが、その任務は俺しか指名されていないはずだ
直属の上司である凌統殿に直で言われたから間違いない
「ならば虎狩りくらい俺ひとりで片付けられるので陸遜殿は仕事に戻っていただいても大丈夫ですよ」
常に忙しい軍師殿だから先に帰ってもらおう
この前凌統殿と甘寧殿が「呂蒙殿は過労で禿げるかもしれない」と話していたから少しでも呂蒙殿の負担を減らして欲しい
「そっそれでは意味が無いんです!!!」
びっくりした。いきなり声を荒らげて反論する陸遜殿に、俺はなにか失礼な事を言ったのかと思った
声を上げてしまったことにハッとした様子の陸遜殿は、口に手を当てて自身を落ち着かせた後その手を腰に当ててふんぞり返って言った
「目立った戦績もない貴方ひとりにして怪我をされると凌統殿に悪いので私がついて行ってあげます!」
「はあ…」
なんだこいつとしか思えない
前々から陸遜は俺に対しての扱いが酷く、会う度になにかしらの皮肉を言ってくる
ならば会わねばいいと避けてもなにかの因縁か城内でばったり出くわす事が多い上に、俺と凌統殿が話し合いをしている時に部屋に入ってくる確率が高い
そして俺の姿を見つけるなり近寄ってきてあーだこーだあーだこーだ
…凌統殿や甘寧殿の前ではもっと大人しい好青年のような感じなのに
「何突っ立っているんですか。早く終わらせますよ!」
武器を構えて走っていってしまった陸遜殿を目で追いつつ、俺も自分の相棒である手甲をはめて任務を開始する
。。。
「まあこんな所ですね」
報告にあった虎の親分を倒し、他の虎が逃げていくのを見届けたからこれで虎は近くに来なくなるだろう
やっぱり2人だから早く終わったな
なんだかんだ速さが売りの俺と陸遜殿の相性はいいらしく、戦闘中も目配せさえできれば次の行動の合図ができてなかなかいい連携ができる
さあ帰って凌統殿に報告してから別の仕事に戻ろうと歩きだしたら背中をなにかに引っ張られた
まだ虎が残っていたかと振り向くと陸遜殿が俺の服を摘んでいる
「あ、あの…名無しさん殿…このあと食事に……」
「……?すみませんもう少し大きな声でお願いします」
「で、ですからこのあと……!!」
視線を右へ左へ泳がせながら何かを言おとしている陸遜殿
早くしてくれないかなと思いつつ待っていたら、大きな深呼吸を1つした後自身の胸あたりの服を掴み大きな声で俺に言った
「ふん!せっかくわざわざ来てあげた私に礼はないんですか!!」
この糞ガキだから先に帰れって言ったのに
額の青筋が浮きそうなくらいキレる俺の顔を見てなにやら慌てる陸遜殿
いやキレさせたと慌てるくらいなら最初から言わないで欲しい
「すみませんねぇ気が付かなくて…後で凌統殿と相談してなにかお詫びを持っていきますので」
これ以上話すと俺が失礼な事を言いそうだから俺の服を摘んでいる陸遜殿の手を払って馬に乗る
「すみません俺、先に戻りますね」
ちらりと陸遜殿を見て馬を走らせる
口をぱくぱくさせて何か言いたげだったけどまたしょーもない事だろうから無視しよう
。。。
「凌統殿失敗してしまいました!!」
「はあ!?またかい軍師殿!」
「し、しかも今回は怒らせてしまったっぽくて…」
「どうせまた変な事言ったんだろ…せっかく協力してんのにこれじゃ拉致が明かないっての」
「すみません…」
「なんで名無しさんにだけ素直になれないかねえ」
「うっ……でも虎を撃退する名無しさん殿はかっこよかったです…!」
「あーはいはい」