短夢

□ 【文スト】頑張れ中島敦
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ツンデレ頑張れシリーズ

※知識はアニメのみ、口調その他分かりません
※異能力持ち主人公


「では二人で行ってき給え」

事務所内で依頼の確認をしていたら太宰さんからそんな提案が


今回の依頼はとある取り引きの阻止。太宰さんはまだ俺と中島が一緒に任務をした事が無いと気づいたのだろう

「はっ!?ちょっと太宰さん、そんな名無しさんさんとなんて…!!」

「嫌かい?」

「あ、えっと…いっ嫌です!!」



中島は他の社員には素直ないい子で接しているのに俺にだけこうだ
一緒にいたくない、話しかけたくない、目も合わせたくないと言わんばかりの態度
俺がこいつに何をしたと言うのか。それすらも教えてくれない

「ん〜しょうがない…敦くんがそんなに言うのなら」

俺か中島か、どっちかに依頼を任せるのだろう。事務仕事が残っているから俺は外れますようにと願っていたら、太宰さんは両手の人差し指で2人を指差し

「先輩命令だ!」

と言った



。。。



「ほんとーーーーに不本意です!」


まだ言うかこいつ

移動の車内の助手席で、張り込みしている現場でずっと不本意だ嫌だと喚いている
じゃあ依頼放棄して帰れ俺だけでできるから

少し黙れと睨むように目線を送り、目が合ったと時は怖気づいたようにぐっと黙るが負けじと言葉で噛み付いてきて逆効果

いっそこの場で話し合ってしまおうかと息を吐いたら人の気配
咄嗟に中島の口を手で塞いだ



『指定場所はここか?』

『ああ、間違いない……まだ向こうは来てないみたいだな』


建物の隙間から覗き見ると怪しげな男2人組が大きめの鞄を持って立っていた

コイツらだな

耳を済まして会話を聞くとこの金で遊んで暮らすだの億万長者だの


「ここで捕まってしまうのに残念だ」

奇襲することはせずゆっくりと姿を表すとまあ向こうは驚く
何も言わず出ていった俺に中島も驚いているが

想定通り鞄を抱えて逃げようとした犯人は、出口ぎりぎりのところで壁にぶつかりそれ以上移動することができない

しかし目の前は何もない
どうなっていると確認している姿を正面から見たらさぞかし上手なパントマイムだろう




種明かしをすれば、俺の異能力『真贋』のせいである
『真贋』は簡単に言えばバリアを貼る能力
獲物を中心に六方向にバリアを貼れば逃げられない個室を作り上げる事ができるし、空中に貼ってそれを足場にすればかなり上空から移動する事もできる応用効きまくりな異能力
もちろん素直にバリアにもするしなんなら掴んで鈍器にもなる

その代わり目に見えないのが難点で、俺自身も「あれ、バリア出てきたよな?」くらいの感覚しかないのがめちゃくちゃ不安


完全密室にいる犯人は徐々に酸素を失い気絶するまで待っておくか

「後は国木田さんが処理してくれるし…」

帰ろう
楽しいお仕事が待っている


。。。


気絶した犯人を国木田さんにバトンパスして事務所に戻ると、中島が頬を膨らませてこちらを睨んでいた


「なんだよ」

「…これくらい僕1人で良かったのに勝手に動かないでください」

こ、後輩の癖にコイツ…!!!!
キレる俺の後ろで乱歩さんと与謝野先生が爆笑しているのか机と手を叩く音が聞こえる




「で、でもかっこよかったです!!」





しん…

ヒソヒソヒソ…

騒がしかった事務所内が一気に静かになり、その場にいた全員が2人1組を作り小声で話し始めた

「これで満足ですか!?」

「俺が言わせたみたいな言い方止めろ」

目の前の中島は顔を真っ赤にしてふんぞり返ってるしなんなんだよ



「二人共お疲れ様。そうだ、敦くんは名無しさん先輩に昼飯をご馳走して貰えばいい」

何勝手なこと言ってんすか太宰さん

「いや俺まだ仕事あるんで」

「そんなもの国木田くんに回しちゃえばいいよ〜」

俺の机から書類を取り上げ国木田さんの机に置くが、国木田さんは「ふん」と鼻を鳴らすだけで何も言わない
そこはいつもの「貴様ァ!」じゃないんですか

「なんならそのままデェトに行ってくれちゃったりなんかしても大丈夫だから」

俺が大丈夫じゃない
中島も仕事があるだろうと中島の机を見ると、与謝野先生や谷崎くん達が仕事を分担して請け負っていて中島の仕事が無くなってしまった



「い、行きましょうデェト行きましょう!!」

しょうがないので付き合って上げます!と、太宰さんに不満な顔を晒しつつ渋っている俺の手を中島が掴んで引っ張ってくる

「俺とデェトなんてよくできるな」

「か、勘違いしないでください!奢ってくれるからです!!」

なんだよお前嫌いな相手に奢らせるとかいい性格してんなぁ…



「ふふん明日の朝、二人で出勤するのを楽しみにしているよ」

「太宰さん止めてください」

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