短夢
□【ヒロアカ】轟と鈍感くん?
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「轟おつかれ」
USJでの救助訓練。水難ゾーンでの担当だった俺達は救助者を船に乗せ、陸地に着くまでにできる限りの応急処置を施した
俺の個性「障壁」は目に見えない壁ーーーというより硬い物質を出す事ができる。水場においてはさして役にたたない個性。そして今回のパートナーだった轟はこんな水場で火を出しても意味が無いし凍らすなど言語道断なので普通に船についていた浮き輪を使い普通に救助
まあ流れてくるでかい岩とか渦は個性で対応したけども
相澤先生からは可もなく不可もなくの評価を頂いたので他の実習終わりの生徒が集まる場所へ向かう
ーーー向かうのは良いんだがコイツ、轟どうにかならないか
実習中は普通なんだが休憩に入ると急に会話ができなくなる。言っておくが俺の話題の無さではなく轟が俺の声に反応せず無視を決められるのだ
今もおつかれの挨拶したのに返事は無し。小中高と一緒なんだからもう少し仲良くしてもらいたいもんだ。思えば小学生の時から無視されてたよな
少しは伝わらないかと轟に目線を投げればかっちりと会う視線。普段の無表情とは違う一の字に結ばれた口の意味が分からない
「……」
ふい、と顔を背けられたら誰でも少なからずショックを受けるだろう
俺は少なからずなんて謙虚はせず結構キレるぞ
「おい轟」
「……」
「轟」
肩を掴んでこちらを向かせれば顔を赤くしてなにか耐えているような、泣きそうな表情で目を泳がせていた
「……おつかれ」
見た事も無い顔に呆然とする俺。そんな俺の手を払い、駆け足で戻る轟の場所はA組女子の輪
えっなにアイツいつの間に女子と仲良くなったのなんかキャーとか言ってはしゃいでんのすげー羨ましいんだけど
にしても耳まで真っ赤にしてそんなに今日の実習気に入らなかったか?そりゃ目立った活躍はしてないけど
俺にはアイツが分からん
。。。
「なあ」
分からん、分からん分からん
轟が俺と話す時絶対顔を赤くする理由とか、なぜか学校へ来る電車は無理してでも同じ車両に乗るとか、喋らないのに食堂で同じ席に座るとか、そんな轟の行動の理由なんて分からん
分からんはずなのだ
いやそこまでアホな俺ではないし、一昔前のハーレムライトノベル主人公特有の難聴とかできるほどのスキルなんて持っていない
……本当は気づいていたのだ。現実から逃げたくて知らないふりをしていた
今、放課後の教室に呼び出されている状況も扉向こうからワクワクしている女子達の気配がある事も理解し今後の展開だって読める
そんな、まさか轟が俺の事
「好きだ……たぶん、友達じゃなくて……付き合いたいと思ってる」
だってエンデヴァーの息子で涼しい顔して何でもできて……
「……どうした?」
どうしたもこうしたもねぇよお前のせいで頭こんがらがってんだよ
ああもうなんか泣きそうだ
助けてください麗日さん。実は俺あなたの事が好きなんです。例え扉の向こうで頑張れ轟くんという声が聞こえてきても、あなたが緑谷が好きなように俺もあなたが好きなんです
「悪ィ。急にこんな事言われても困るよな」
ほんとにさ
なんかキャパオーバーして逆に頭がスッキリしてきた。長引かせると面倒になるからこの場で言ってやる……!
「いいか轟、俺の好きな人は」
「「「「「轟くんおめでとー!!」」」」」
は?
でかい扉開けてなだれ込んできた女子の言ってる事が理解できない
「なんか轟くんの告白聞こえた後に不穏になったからダメかなーって思ったんだけど、その後また好きって聞こえて来て嬉しかった!おめでとう!」
「い、いやそれ俺が告白受け取った訳じゃなくて……」
「クラス初めてのカップルだね!」
「う、麗日さんできれば俺はあなたと」
「皆にも報告しなきゃ!」
やめてください葉隠さん!!!
俺が止める間もなく扉を抜けて廊下に飛び出した彼女は今校舎にいるA組全員に伝える気だろう
「名無しさん、今日は一緒に帰ろう」
「キャー!!名前呼び!」
「わ、私達はお邪魔でしょうからもう退散しますわね」
「先に透ちゃんを回収しなきゃ」
ぞろぞろと出ていく女子に立ち尽くすしかない
立ち尽くすしかないというか轟に手を掴まれていて動けないんだが
「なんか変な方向になったな」
「お前も訂正しろよ!!!!!!」
俺の高校生活はそっちの意味で薔薇色に染まってしまいました
涙が止まらねぇぜ
、、、
✕鈍感くん
〇ノンケ(どうせすぐ絆される)