短夢

□【ヒプマイ】独歩と大学生
1ページ/1ページ

※めちゃくちゃ試行錯誤。設定口調間違っていたらすみません。やんわり優しくベビーせんべいのように教えて頂けると嬉しいです。



「あの、何かお探しですか?」

あとそこにいたらめっちゃ邪魔なので別の所でやってください。

今日は講義が昼までだったので生活費確保の為にバイト先へ来たら裏口前で人が蹲って扉を塞いでいた。いや、蹲ってというか地面に置いた鞄を漁って必死に何かを探していた。
声掛けた俺に驚いたように顔を上げこちらを見るその人の顔は青ざめていて、昼間から酔って面倒事を持ってくる人間ではないと安心。服装はスーツで恐らくリーマン。
この赤い髪、前に見たような……?

「ぅあ、あの、えと」
「あ、すみませんそこ出入口で……」
「アッアッすみません……」

な、なんだこの人めっちゃ隈すごいしなんか幸薄そうな……。とりあえず入り口から退いたけどまだごそごそやってるのを無視して店の中へ入る。

「あ、ああ……どうしよう」

店の中へ……

「あれがないと……うぅ……」

み、店の……中へ……

「……死のう」

入れたら良かったのになァ!!!!

「早まらないでください!!何が無くなっていたんですか!!!」
「いやでもそんな」
「店長ー!店の目の前に死体置かれたく無かったらお客様の対応としてタイムカード押させてください!」

裏口開けてそう大声で叫べば店頭にいるであろう店長の「どういう事!?」が聞こえた。が、俺が事情を説明する前に掴まれた手によって言葉は遮られた。

「と、とりあえず1日のルートを思い出して、その中で探し物をちゃんと持ってたと把握出来る所から探索しませ……ん……」

か。
か?……あ?何してんだこの人。掴んだ俺の手を両手で包み込むように持ち替え胸の辺りでニギニギしている。嬉しそうにして初めて人類に触れましたみたいな反応止めろ怖いな。

「あの」
「はいっ!?あ、すすすみません……!」

ハッとして慌てるが手は離さない。むしろどうすればいいのかと悩んでいるのか余計揉まれるハメになってしまった。
母指球を揉まれ付け根を絡まされ指先を摘まれ…………分かった。このままでいいから早く探し物を見つけよう。


。。。


おかしいな。行く先行く先全然見つからないってかこの人どんな所歩いてきてんだ。
家から会社、その後映画館喫茶店ショッピングモール。あと海。
そして今男2人で海見てる状況。午前だけでこんなに回ったのかよマジかよ仕事どうした。

「気持ちいいですね」

うん。
……うん。そうだね。俺は結構虚しい思いしてるけどお兄さん虚しくないの。どんな顔してんだと横を向けば惚けたような。遠くを見つめる横顔はなんていうか……

「溶けそう」

お兄さんの髪の色が夕日と似てて、ちょっとやつれてるなって顔もアンニュイというか、儚げに見えている。光のおかげで隈が見えないのも相まって。

「……と、思ったん……です、けど」


やってしまった。そう思ったからって全部言わなければよかった。せめて顔が赤ければ照れてると思えたけど夕日で分かんないし。目をうろうろさせて返事が出てこないという事はドン引きという事で……。

「すみません……海に沈んできます」
「な、なんで名無しさんさんが死ぬんですか!!」

ええい止めるな!!俺はいま羞恥で頭を冷やしたいのと死にたいのでいっぱいなんだ!!なんでこんなポエミーな思考になったんだろ!!絶対あの自由人がラップがどうとかチームがどうとか言ってきたせいだ!!!

「待ってくだ……あっ!!!」
「えっなに」
「ありました!やったー!!」

大声上げて岩陰に隠れたお兄さんを追いかけたらアルミのトランクケースに抱きついて感涙を流していた。お、おう見つかって良かったね。

「名無しさんさんのおかげです!ありがとうございます!」
「い、いや俺なにもしてなくて……」

なにもしてないからその財布に突っ込む手を離してください!!!アーッダメです諭吉が数枚見えた!!

「じゃ、じゃあ今度ご飯奢らせてください……」
「ほんとにいいんです!!ここまで来る電車賃とかお兄さん持ちだったじゃないですか!」
「ならこのお金を……」
「だー!!分かりましたご飯行きましょう!!」

なんで俺お金もらう方なのに脅されてんだよ……渋々ではあるが携帯を出して番号を交換。名前は……観音坂独歩。名前書く時面倒くさそう。

とりあえず見つけたから会社へ戻ると頭を下げた観音坂さんに俺も頭を下げ砂浜からコンクリへと足を移した。観音坂さんは走って行ったのでもう見えない。

俺もバイトへ戻ろう。あーあ、どうせこの時間バイト代に組み込まれて無いんだろうな。

てかそもそも




「俺、あの人に名前教えたっけ」

なんでトランクケースなくしたのにカバン中漁ってたんだろ。






。。。


「先生聞いてください。彼に会えました」
「……前に話していた電車で助けてくれた青年の事だね」
「一二三が考えてくれた計画も上手くいって……デートみたいな、2人で遠出できたんです」
「ぅえー!?俺っちがテキトー言った落し物大作戦やったん!?マ!?」
「お金出すって脅したら彼が電話番号を教えてくれて……」
「独歩くん、それはどういう状況なのかな」
「しかも彼、SNSは電話番号で登録してたみたいで、意外と可愛いスタンプ使うんですよ。見せませんけど。彼の名前もおしえませんけど。俺のなんで」
「ええ……寂雷さぁん、独歩も治療した方がいんじゃないっすか……?」
「経過観察、かな」
「ひーっ独歩が犯罪に手を染めませんよーにっ!!!!」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ