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□コンテニュー
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2分、否3分か。送れてしまった。
どうしよう、芥川は。
仕事だから当然の様にあの黒いコートを来てくるのだろうか…。目立つなぁ
「あ、芥川ぁ!」
「遅い。」
黒い影はぬっと動き近付く。
「ごめん、電車で人が轢かれたらしくて止まっちゃった。」
仕方ない。と思っているのか腕を組み暫く私の服装を軽く見てからそっぽを向いてしまった。
「行こう。今、観覧車前で止まってる。」
手元にあるGPSと繋がっているデバイスには赤い点が観覧車と書かれた長方形の前に止まっている。
「券もあるから、ね。」
デバイスから目を離し芥川の方を見ると外套を着ていたがそれは何時もの外套ではなく膝より少し高いくらいの灰色だった。
髪はマフラーに仕舞ってあり、短い毛が風に靡かれている。
「なんか初めて見た、芥川のそんな格好。」
そう言うと伏せていた目は此方を向き突然…
行くぞ、と手を差し伸べられた。
「えっ、」
彼は「?」と言う様に首を傾げている。
「うん、」
手を引かれ入場した。
周りから見れば恐らくカップルにでも見えているのだろうか。きっとそうだ…よね。
観覧車へと歩く途中に声を掛けられた。
週刊ベストカップルという雑誌の記者らしいその人に声を掛けられた…やっぱり
「急いでいる。」
今迄より手を強く引かれ、観覧車へと向かう。芥川はどういった気なのだろうか。
自らのマフラーを引かれていない方の右手で握り締め形を整える。
観覧車に、付いた。
標的は普通にベンチに座って雑誌を読んでいた。
それが先程の週刊ベストカップルで、何だか恥ずかしくなった。
結局彼には私が声を掛け逆ナンパというか、逆誘拐の様な形にして幕を閉じた。
辺りはもう暗く、皆帰り始めている。
私達は遊園地を出て直ぐの円状の長椅子に座っていた。
遊園地を出て連絡をしていたマフィアの人に引き渡すと、溜め息が出た。
「遊べなかった…。」
「当たり前だろう。」
「否、観覧車は乗れた。」
彼は困った様に軽くだ眉を下げ口を開く。
そして、次に言った事に私は驚いた。
俯きながら目を見開いてしまった。
「もう一度行くか。」
1度決めた事は絶対に成し遂げる。
彼がそういう人だって私。
知ってるじゃない。
もう少し、掛かりそう。