book
□うばいあい
2ページ/5ページ
●●
.
亜弥は最低だ。美貴の気持ちなんか御構い無し浮気してごっちんとも付き合って梨華ちゃんともやって挙げ句の果てには亀井にまで手出して、美貴と付き合ってんのになーなんて考えながら側にいた亜弥の背中を叩いてやった。
「なんだよ?」
ちょっと楽しそうに亜弥は笑いながらそう言った。亜弥はいつもそうあたしがちょっかいを出すとすぐに楽しそうになんだよ?と言ってくる。これも五分早く生まれて来たから余裕があるのかな?なんてよく考えたっけ?
「なんでそんな余裕しゃくしゃくなんだよっ。あたしが奪ってもいいの?」
すると亜弥は笑みを浮かべてサッと言い放った。
「たんがあたしから離れるわけないでしょ」
「やっぱ。たん絡みの亜弥は嫌いだ」
「うん。知ってる……」
「なんでそんなに余所見するんだよ。美貴だけで充分じゃん何がたんない?あいつに」
「そりゃあ胸でしょ」
亜弥はニッタリと笑いながら手を揉み揉みさせそう言った。あたしはそんな亜弥にデコピンをする
「いたっ!あんた格闘技やってたんだから痛いんだって」
「知ってるよ……好きなんだ本気で亜弥以外に好きな人が出来たんだ。初めてなんだよ。それをなんでお前が邪魔するかなー?」
「あたしはたんが好きなだけだよ。そんでたんもあたしを選んだってだけだよ。なんで好きな人まで被っちゃうのかな」
あたしはその言葉を聞くと亜弥の背中にもたれながら苦笑し目を閉じてすんなりと亜弥に甘えた。
.