名探偵コナン

□傍にいて
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いったい…死ぬほどお腹痛い……

死にたくなるほどの痛みを堪えソファに転がる

今日は久しぶりの女の子の日

不順だからか、なればすごく痛む

ぐったりと横になっていると温かい手が頭に触れた

「大丈夫か…?」

目を上げれば同棲している赤井さんがいた

心配そうに眉を下げる表情に申し訳なく思う

「あまり…大丈夫ではありませんが…貴方が傍にいてくれるからまだマシですよ…」

無理に微笑めば、無理をするな、と言われてしまった

なぜこうもバレてしまうのか…

「お前の事だからだ…」

そっと口付けを落とされる

その瞬間香るのは赤井さんの煙草の匂い

赤くなるのは抑えられず、顔を背けた

ククッ…と笑う声が頭上からした

「夏稀は相変わらず可愛いな…」

大きな骨ばった手が私の頭を撫でる

そしてコツン、と頭の上に何か乗った

「赤井さん…?」

不思議に思い問いかけた

「早く子どもでも作ればお前がこんなに苦しむ事もないのかもしれんな…」

脳に直接響くようなその声に下腹部がじわりと熱を持つ

どうやら置かれていたのは赤井さんの顎のようで彼の声が直接響いた


「…っ」

咄嗟に赤井さんを押し退けて逃げた

「ククッ…痛いんじゃなかったのか?」

そう言われた途端、再び痛みを自覚して身体をソファの後ろで丸めた

「お前は馬鹿か…」

苦笑して抱き上げられ、膝の上に座らされた

「そういえば薬は飲んだのか」

ふと思い出したように言われ口を噤んだ

お子様と笑われても仕方がないが私は薬が大の苦手なのだ

「……」

「…………」

私をソファに座らせ赤井さんは立ち上がった

その裾を私が掴む

「……」

「……」

グッと手に力を入れたがあっさりと払われた

「…………」

明らかにしゅんとしたらぽん、と頭に手を置かれた

「すぐ戻るから少し待っていろ」

嫌です、とも言えず黙り込んだ

赤井さんが部屋を出た隙を見計らい、私は痛む身体を引きずり逃げた


「薬を持ってき──夏稀? どこに行ったんだ?」

そんな声を微かに聞き私はとある場所に隠れた


「ちっ…逃げたな」

夏稀の薬嫌いを知っている赤井はすぐに逃げられたと悟った

だが家の中にいる事もまたわかっていたので焦らず探すことに


30分後

「いない…」

夏稀が見つからない事に赤井はいらついていた

ベットも自室も風呂もトイレも探した

なのにいない

あと探していないのは…

「クローゼット?か……?」

そう思い立ち、2人の部屋のクローゼットに向かう


「……ここにいたのか夏稀」

クローゼットの扉を開ければ夏稀はそこで眠っていた

すうすうと寝息をたてる夏稀を見て自分の匂いが好きだと笑う夏稀を思い出した

ふ…っと微笑み夏稀を抱き締める

微かに自分の匂いがついた夏稀に優越感を持った

「愛してる」

眠る夏稀に囁いて口付けを落とした
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