お前ら、準備はいいかァ!!(longdream)

□第2章 衝撃的な出会い(立)
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「ってそうじ…………?!」

アタシはきっとあのときの痛みを二度と忘れることはないだろう。あんな、死は二度と味わいたくないものだ。背中になにかが当たる感覚。そのあとに起こる全身の激痛。頭からなにかが流れているような感覚。そして、段々遠退いていく意識。これで、終わりなんだと思っていた。…………しかし、

「……………あ、れ」

終わりではなかった。むしろ、これが始まりだったのだ。

「………いったいな…」

目を覚ますと見知らぬ場所にいた。………アタシは死んだんじゃなかったのか?というより、痛い。痛みは消えてないということは、あの出来事は夢ではないのか。ということになると、ここは一体…?

「………目覚めたか」

なんとなく周りを見ていると、後ろから声が聞こえた。

「ん?………誰」

後ろにはフードを深く被った兄さんが一人。…………どういう状況だ、これは?

「我か?………………そうだな。………保護者とでも思ってくれ」

どうやら、ここにはこの兄さんしかいないらしい。まあ、いるだけまだましと言ったところか。色々と聞けるしね。

「へぇ?まあ、いいや。それで?ここは、何処なわけ?」

「ここは時の狭間。世界の中心とも言える」

……………………、

「……………イタいな」

………厨二感がすごくするんだが。

「そういう感想は心でしろ。………やはり、こいつを生かしておくのはやめとくべきだったか…」

「……は?何それ。てか、今性格で決めようとしたな?!」

「さて、なんのことやら?」

「いやいや、とぼけんな!!」

「………仕方ない。質問には答えてやろう」

「んだよ、その上から目線」

「立場上実際に我は上だがな」

「……………一体何者なんだよ」

「ふふっ、それは教えられないなぁ。まあそれはさておき、質問に答えようか」

フードの兄さんの口角が緩く上がる。………微笑んでいるのだろうか。……この人も笑うことが出来るんだな。

「主には一つだけなんでも叶えてやろうと思ってな」

「は?」

……まあ、そんな微笑ましい考えもこれで一気に消えたが。

「なんだ、喜ばぬのか?」

「あ、え?いや、喜ぶも何も。何いっちゃってんの?話ぶっとびすぎでしょうが」

本当に何者なんだ。一般人じゃないことは確かだが。……あと、常識人でもなさそうだ。

「…………今失礼なことを考えていただろう」

「いいや?まったく」

「ほう?まあ、いい。それで、主は何を望む?」

どうやら、本当に叶えてくれるらしい。……………なら。

「真と一緒の世界で生きたい」

アタシにはこれしかない。…………いや、他にも友達はいるけどさ!!でも、

「真と………………梓もいれば最高なんだけどね、まあその二人が一緒ならどこだっていいや」

長年ずっと一緒にいた人たちだ。むしろ、いないと心細いしなんかこれじゃない感がある。

「…………そうか。………もし、その真とやらがそのまま"死"を選んだらどうするのだ?」

「アタシも受け入れるよ?もちろん、本当は真たちのことは忘れて心機一転してもいいんだろうけど、でもまだアタシでいれるのならアタシはできる限りアイツらのそばにいたい」

…………まるでアイツらがヒロインみたいな感じだね、この台詞。我ながらクサイなぁ………。

「そうか、なら何も言わん。では、彼女が目覚めるまで、しばし眠っておけ。これから、きっと体力的に辛くなるからな」

「一体真をどんな場所につれていくんだい………」

「それは行ってからのお楽しみだ。まあ、まだ行くとは決まっていないがな」

「そうだねぇ…………。んじゃあ、少し寝ましょうかね」

体力的に辛くなる世界とは一体どんな世界なんだか気にはなるが……まあ、なんとかなるだろ。そんなことを感じながら意識を手放した。…………今度は生きるために。

……………とかちょっとかっこよく決めてはみたが、今はそんなどころじゃなかった。

「ちょっと待てェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!!あのくそ野郎がァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」

浅倉陽絶賛落下中☆

いやいやいやいや、そんな呑気に言ってる場合じゃねえええ!!!!!なんだこれ?!なんで、まだ死なねばならん?!あれ、アタシ生きるんだよね?!真が生きることを選んだからアタシのままなんだよね?!だったら、なんで落ちてんだよ、くっそがァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!
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