お前ら、準備はいいかァ!!(longdream)

□第4章 楽しい鬼ごっこの幕開けだァ!!(立)
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「なんでこうなってんだよ、ちっくしょォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

まったくめんどくさいことになったね☆

それは放課後になり、教室に誰もいなくなった辺りまで遡る。

「よお、浅倉」

「やあ、仁王。部活はどうしたんだい?」

元はと言えば、こいつが来る前にさっさと帰っとくべきだったととても後悔している。何故、のんびり準備してたんだろうか、ちくしょうめ。

「サボった」

「嘘つけ」

「ああ、嘘じゃ。実は部活で少しばかりおまんが必要でな」

「へぇ、だがオアイニクサマだね。アタシ、アンタの部活には興味ないんだ」

「………って言うと思っとったから、無理矢理つれていくんじゃ」

「………は…………い………っ?!」

理解する前に、腹に激痛がはしった。…………コイツには手加減というものがないのかってくらい、重い一撃だった。もちろん、そんな物理的な耐性はアタシには持ち合わせてなく、相手の思惑通り、ブラックアウトした。

次に目を覚ました時は、ロッカーで囲まれた部屋。多分、部室だろう。

「む、起きたか」

そして、近くにはおっ…………いや、老け顔なだけで実は同い年か…………?ユニフォーム着てるし……………。……………そんなわけないか。そして、アタシは呑気にそんなことを考えてる場合じゃないんだってば。

「…………ってぇ………。これじゃまるで拉致じゃないか…」

「仁王がお前を捕まえるにはこうするしかなかったと言っててな。手荒な真似をしてすまなかったな」

「そう思うのなら、さっさと帰してくれ」

「すまんが、それは出来んのじゃ。俺だって、そうしたいのは山々なんじゃが……」

な ん で だ よ 。

悪びれもなく言いやがって。

「詳しい話は俺からしよう」

…………………ここに来て、さらに登場しますか。てか、本当になんなんだよ。

拉致されるわ、目ェ覚めたら部室にいるわ……………どっかの犯罪集団かっての。

「………言っておくが、俺たちはやりたくてこんなことをしてるわけではないぞ」

「そんなん、言葉のアヤってヤツでしょうが。やりたくてやってたら大問題だろうがって………………あれ?アタシ声に出してたっけ?」

「いや?出してないな」

「そうかい、ってちげーってば!なんで思ってることあてられるんだよ?!」

「世には読心術というものがあってだな…………」

「へぇ………そんな的確に当てられる読心術ガアルンデスネー。てか、そんな芸当ができんならアタシの心情も察してさっさと帰らせろよ」

「………だから、それが無理だと言ってるんじゃないか」

「そういや、そうだったね。んで、なんの用さ?こんな、転校初日から拉致紛いな不幸なことにあったアタシに何の用さ?」

「…………根に持つタイプはモテないぞ」

「そんなんどうでもいいから、早く話せ」

「…………我が立海のマネー「却下」…………まだ全部言ってないぞ」

「そんなん知らんがな!とにかく、アタシはそんなんやらないからな!」

「何故だ。痩せるぞ」

「なんで痩せるからっていうしょーもない理由で入らにゃならんのだね!そんなん、普通に運動部に入ればいいじゃないか!入る気もないけど!何故なら、ここには帰宅部というとても素晴らしい部活があるんだぞ!動きたくない・アニメみたい・家に早く帰りたいという願いを全て叶えられる素晴らしい部活があるんだぞ!入らにゃ損ってヤツだわ!というわけで、却下!他を当たってくれ」

「見事なマシンガントークだな。しかし、ここで帰すわけにはいかないな」

「ならば、無理矢理帰るまで!さらばだ!」

詳しいお話をしてくれた糸目くんの少し前を狙って空気を蹴り相手が怯んだところを走り出す。………が、あっけなく腕を捕まれる。

「まあ少し、待て。話は終わっていない」

「いや、アタシは終わったんだけど」

「そう言うな。浅倉俺たちとゲームをしないか?」

「ゲーム?」

何を言うんだ、コイツ。

「ああ、ゲーム。内容は鬼ごっこだ。お前が勝てば、無理にお前をマネージャーにはしない。だが、お前が負けた場合はマネージャーになってもらう。どうだ?」

「鬼の数は?」

「それは言えない。何事にもサプライズというものが必要だろう?」

「そんなところでサプライズはいらない!!」

………でもまあ、

「………まあ、やってもいいよ。それなら、要はアタシが勝てば良いってことでしょ?」

「ああ、そうだ」

「んで、勝利条件は?」

「お前が校門を出ること」

…………校門を出ること。少し顔を伏せてそのことを噛み砕く。

「わかった。それじゃあ、やろうか」

「既に鬼は配置済みだ。今ここにいる奴らは3分後に部室から出る」

「ふむ、それじゃあね。二度と会わないと思うけど」

「それはどうかな?」

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というわけで外に出たはいいものの。

「…………にしても、どうしようものかね」

…ここは、外。アタシが置いてきたバッグがあるのは二階。一回中に入らねばならんが、多分昇降口には誰かしらいるのだとしたら……。

「わざと見つかって、遠回りしながら中にはいるとするかな」

よし、そうと決まれば早速行動開始だ。

「とりあえず、昇降口に向かうとしますか」

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……………てなわけで、昇降口に来たわけですが。

「赤いヤツがいるねぇ」

………あいつらと同じユニフォームを着た、ガムを膨らませてるヤツが一人。……………まあ、ここは挨拶も兼ねて、

「やあ、そこの赤髪くん。名前はなんというんだい?」

「ん?俺は丸井ブン太。お前は?」

あ、普通に答えた。……………もしや?もしかして?これは?

「浅倉陽。そこを通してくれないかね?」

「浅倉………?あ、お前幸村くんに気に入られた仮マネージャーだろい!」

………………あ、こりゃダメだ。

「あー、そう。アタシのこと知ってんの。そうかいそうかい。んで、そこ、通してくれないの?」

「ああ、ダメだな。てか………」

「てか?」

「見つけたら、捕まえるように言われてんだよぃ。ってなわけで、」

ジリジリとヤツは近づいてくる。

「……………まじかよ」

「鬼ごっこ、開始だな☆」

こうして、立海テニス部vsアタシの楽しい楽しい鬼ごっこが始まった。
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