お前ら、準備はいいかァ!!(longdream)
□第5章 私しかいないの
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――――――しってる?――――――――――――――
―――――轢かれちゃったんでしょ?――――
――――可哀想ね――――――――――――――――――
『一人ぼっちなんて可哀想』
「…………………ただいま」
「おかえりなさい。学校は?」
「…別に」
「………いい加減、立ち直りなさい。天国の二人に笑われちゃうわよ?」
「天国なんてないくせに…………」
「…………………手を洗ってきなさい。ご飯よ」
「……………うん」
―――――こんな毎日もううんざりだ。
「なんで死んじゃったの
"城川"………"陽"……。私、貴方たちがいないと………楽しくないよ…………」
テレビは死亡事故のことばっかり。
ネタが見つかったみたいで、嬉々として伝えてるように見える。……………不愉快だ。
「こんな世界。私にはいらない。あの二人がいないと、楽しくない」
机の上には、漫画とブレスレット。
…………二人の証[モノ]だ。二人が私に残したもの。借りていたテニスの漫画と誕生日にくれた黄緑色のブレスレット。
でも、もう二人はいないのだ。私を残して遠いところに行ってしまった。自力ではもう会えない。…………いや、一つだけあるが、私にそんな勇気はない。臆病な性格だからそんなことはできない。
「…………ごちそうさま」
「……もういいの?」
「うん」
ああ、なんでこんなことになってしまったのだろうか。二人がいたときは、あんなに楽しかったのに。今は微塵も楽しいと感じない。今私にあるのは、絶望だけ。
「…………神様。…………叶うのなら、あの二人に会わせて」
神様なんてものいないのに、この言葉が口癖になってしまった。全く、困ったものだ。
………………私はきっと、どこかで二人に会えるんじゃないかと思っている、らしい。だから、この言葉を口にするのだ。
しかし、そんなことは起こらない。……………………起こらない、はず、だったの、に………。
"汝、今一度、出会いを望むか?"
突然声とともに頭痛が私を襲う。
「う、うあああ………………」
自室のベッドの上で痛みを追い出そうと、転げ回る。すると、何回かやっていると少し治まる。…………ストレスによる頭痛だったのか?……だとしたら、私も重症だな。……幻聴まで聴こえてしまった。これは、やばい。自嘲気味に鼻で笑い。あり得ないと言う。………しかし、どうやら、あり得ないことではなかった。
翌日の放課後。
憂鬱な日々である。周りの人は、割れ物を扱うような接し方をしてくる。はっきりいってウザい。
そんな生活を終え、自室へ戻ると……
"汝 今一度 出会いを望むか?"
…………きた。その言葉と同時にまた頭痛に襲われる。
昨日と同じようにベッドを転げ回れば、治るだろうと思っていたが、今日は違った。
"汝 覚悟が あるならば 二度の出会いを 許そう"
…………続く………だと?!どういうことだ。終わると思っていたはずが、続いてしまった。つまり、頭痛は治まらない。
「なんだっていうのさ…………!!!」
"もう一度 問う"
"汝 覚悟 ハ アルノカ ?"
本能でこの問いがくるのは最期だと感じる。
………もし、再びの出会いの相手があの二人ならば…………私は………
「も、もし………あの二人に会えるのなら…………会いたい………!!」
"汝の覚悟 しかと見た。再び出会わしてやろうぞ――――――――――――――――『
桜梓』"
「な…………んで、私の名前を……アァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」