人生とはゲームである。
□一章
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No side
カタカタカタカタカタ...
室内に響くキーボードを叩く音。
薄暗い室内を照らすのは、パソコン画面から発せられるブルーライトの弱々しい光。
その光が1人の男の顔をぼんやりと照らす。
絹のように滑らかでサラサラな美しい髪。程よい厚さの唇。スッと筋が通った高い鼻。長い睫毛に縁取られた瞳は、普段のそれとは違い、生き生きと輝いている。
形のいい眉も色素が薄くきめ細かい肌も全てが完璧で計算され尽くした美しさだ。
その容姿に誰もが魅了されるのだが、彼自身はその事に全く気づいていない。
学園内で絶大な人気を博しており、上品で王のような風格に、ネコの生徒からは激しく抱かれてぐちゃぐちゃにされたいと望まれ、タチの生徒からはぐちゃぐちゃに抱いて啼かせたいと望まれる。
学園の生徒達の投票により作られるランキングでは、抱きたいランキング・抱かれたいランキング両方で、1位となり、生徒会長に選ばれた。
生徒会長。
この学園の誰もが憧れ、敬愛し、時にその素晴らしさに嫉妬の情すら湧いてしまう。
生徒会の仕事は、学園の運営から行事の計画、決済、行事や集会の際の挨拶に進行などなど、一般的な生徒会の仕事から学校運営まで多岐にわたる。
それこそ、教師共なにサボってんだってくらいに。
それをたった5人で回しているのだから、生徒会メンバーの有能さがよく分かるだろう。
特に生徒会長である彼の仕事量は役員の誰よりも膨大で、だからこそ生徒会長に選ばれるには人気だけでなく能力もないとやっていけない。
彼が凡人であれば、一瞬で潰れていただろう。
そんな役職につく、その男の名は..
「千尋」