BLACK

□Brunch
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Brunch


「うー暑い〜なんか食欲ないかも‥」
お昼休みの化学準備室。昼食はここで三人、ファイの作ったお弁当を食べることがほとんどだった。

「もう夏バテかよ?そんなんで真夏大丈夫かよ?」
黒鋼が手元のバインダーでぱたぱたと扇いでやる。
和食中心のお弁当にファイはあまり手を付けられていなかった。

ユゥイが心配そうにファイの頭をなでてやる
「じゃあ今晩は久しぶりにカッペリーニで冷製パスタにしようか?それなら食べやすいでしょ?」
「カッペ‥?なんだそりゃ?」
「1番太さの細いパスタの事だよ。冷たくして食べるとおいしいんだよ」
「ああ?素麺みたいなもんか?」
「‥‥いや、ちょっと違う、かな」

デスクに突っ伏したまま黒鋼とユゥイのやり取りを聞いていたファイがむくっと顔をあげた。

「久しぶりに黒たん先生の素麺食べたいかもーユゥイが来る前はたまに何か作ってくれたよねー」

最近は朝食はファイとユゥイが共同でさっと簡単に作って、昼食はファイ、夕食はユゥイという持ち回りで落ち着いていた。

「‥そりゃかまわねぇが。普段も別に作んのが嫌ってわけじゃねぇぞ。」

黒鋼は料理が特に苦手ではなかったけれど、二人の前では出る幕がない日々だった。少々二人に甘え過ぎていたかとも思う

「これから朝飯くらいなら作るが」

その黒鋼の言葉にファイとユゥイはきょとんと顔を見合わせ、ぷっと吹き出した。
「そんなの気にしなくていいのに、律儀なんだから」
「そうだよーそれに黒様先生の作る朝食って和食でしょ?オレ朝はパンがいいしー」
「パンってなんだよ、そりゃ!人がせっかくやる気だしてみたのにおまえらなぁ‥」

ふて腐れて向こうむいてしまった黒鋼に慌ててユゥイが提案した

「じゃあこれから休日のブランチは黒鋼先生に作って貰うのは?ブランチなら昼食も兼ねてるからちょっとしっかりめに和食でもいいんじゃないかなあ?」
「あーそれいいかもー!それにだいたい休日の朝って黒様のせいでオレ達起きられないもんねぇー」

「「‥‥!!」」

さりげないファイの爆弾発言に黒鋼は固まり、ユゥイは耳まで真っ赤になった

「きっまりーい!黒っぴ今度から休日はよろしくねぇー」

そういいながら上機嫌にファイは黒鋼の背中に飛び付いてきた。

「やっ、オレそんなつもりで言ったんじゃ‥」

ユゥイはあわあわと黒いジャージの裾を握りしめる

そんな二人に黒鋼は額に手を当て深く溜息をついた

「‥じゃあそれ作って責任はとったって事にするかんな‥覚悟しとけよ」




それから休日の朝には台所に立って料理をする黒鋼の姿と‥

ベッドの中で仲良くすやすやと眠る双子の姿がいつもの風景





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