BLACK

□change the world
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「くろ、がね先生‥」
ふいに涙が溢れてきてしまってカップに手を延ばしかけていた腕を押し止めてその広い胸に飛び込む。
「ごめん、‥ごめんなさい」
大きな腕がこの身体を包んで背中を優しくさすってくれた
「‥なんで謝る必要があんだよ‥」
「うん、‥ありがと、だよね‥」

そう、オレが本当に謝らなくてはいけないのは‥

オレの最愛の兄で、
黒鋼先生の最愛の恋人である‥ファイだ








「あっ‥せんせっ」
ソファに座った彼に跨がり、喘ぐ。二人が繋がっている事を確認したくてに太い首に抱き着きながら自分で腰をゆっくり上下させる。そのたびにほとんど引っ掛かっているだけのシャツの衣擦れとオレの体内が彼を飲み込む音が響いた。

「なかっ、オレのなかに‥先生が‥」
「‥ああ、入ってる」

どうしようもなく気が高ぶってにじむ涙を優しく吸って胸に、首筋に口付けてくれる。ゴツゴツした手に手首をそっと持たれ指先を甘噛みされた時たまらなく震えた。カラダの熱が上がって狂いそうだ。

「だめっ、もう、どうしていいか‥わかんなっ」

なるべく素肌に触れたくて夢中で彼のTシャツをまくりあげ、手を差し入れて縋り付く。少し汗ばんだその肌に僅かに安心して、ふぅ、とため息をついたと同時に下から激しく突き上げられた
「−−っ、ああっっ」

衝撃と快感に危うく彼の背中に爪を立ててしまいそうになって、ビクッと身体が硬直する。それを察したのか真紅を苦しげに細めこちらを見つめてくる。

この身体にファイ以外の人間が爪痕を残すことは許されない。

辛く、苦しい沈黙が一瞬流れ‥オレがそれに耐え切れなくなる前にふわりとした浮遊感と共に身体はソファに沈み込み、彼が覆いかぶさってきた。
体重をかけられ、熱いものが深く深く入り込んで来くる。同時に同じくらい熱い手がオレの職人にしては細い、頼りない手を強く握りしめてくれる。

そう、この手をオレはなぜかずっとずっと前から知っている気がして仕方がなかった。‥なぜ‥?

答えはでないまま激しく揺さぶられて快感に飲まれていく。もっともっと繋がりたくて舌を深く絡めて終わりなくキスをする。上も下も繋がっている感覚がどんどん広がって曖昧になっていつしかすべて混ざり合って溶けてしまったようになるころには、罪悪感も消えてしまって、彼とオレの魂だけがこの世のすべてになる。こうして二人混ざり合う事がひどく当たり前に思える。

視界が真っ白になって意識までも溶けるとき、きつく抱きしめられて、ああやっぱり、この熱さを、強さを知っている‥

そう、思った。






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