時渡りの天使

□プロローグ
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高校の修学旅行で春は奈良に来ていた。

二日目の自由行動で明日香村に来ていた春達は、自転車を借りて黄金色に輝く稲に目を奪われながら走行していた。

そんな春達の列に、突然1台のワゴン車が突っ込んでくる。

見晴らしのいいたんぼ道の景色のなか、ただ一直線に春達を狙うようにスピードをつけて。

春と一緒に行動していた班の男子4人、女子2人は間一髪で避けることができたのだが。


「春…?」


1人欠けている春の存在に気がついた女子が、彼女がいないことに目を見張る。

たんぼに横転して煙を上げるワゴン車。

回りには避けて自転車と共に倒れた学生と、巻き添えで跳ねられてぐったりした他学校の学生。

そして、今まで一緒に歩いていた友人である春の姿が忽然と消えていた。
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