△▼お話△▼

□好きの意味
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好き。


今にも世界を焼き尽くしてしまいそうなほど真っ赤な夕日だったある日の放課後、突然、ねるにそう告げられてから、その言葉が私の頭の中から四六時中離れない。

ずっとその意味を考えていたけれど、どうしてもわからない。

なんだかめんどくさくなって途中で考えることをやめたけど、やっぱり、どうしても気になる。


今日こそ、ねるに聞くんだ。あの日言われた、好きの意味。


「ねぇ、ねる」
「んー?」
「あの…聞きたいことがあるんだけど」
「うん」
「その……」
「…なに?」
「……この前…のことなんだけど」


なかなか聞き出せない自分のヘタレさに落胆する。


「私に……好きって言ったじゃん」
「うん、言ったね」
「それって…どういう意味…?」
「意味…ね」


ねるは少し考え込んでから、口を開く。


「…友達とかに対する、好き。じゃないよ」
「えっ…?」


2人で顔を見合わせる。

すると、次の瞬間、ねるの顔がだんだんと近づいてきて、距離が0cmになったとき、私の唇にねるの唇が触れた。


「こういう意味の好き」
「…!」


多分、今の私は顔と耳をリンゴみたいに真っ赤にしているだろう。


「ふふっ、りさ、顔真っ赤だよ」


やっぱり。


「だ、だって、ねるが…いきなりキス…なんかするから…!」
「りさが知りたいって言うから、私の好きの意味」
「言ったけど…!言ったけど、別に、その、他に言葉で伝えるとかさ…」
「だってー、こっちの方が手っ取り早いじゃん?」
「っ…」
「わかったでしょ?私の好きの意味」
「……」
「ちょっと、だんまりしないでよ」
「えっと……その、なんでねるは私のこと好きなの?」
「うーん、なんでだろ、直感?」
「直感…?」
「入学式の日、りさのこと初めて見かけた時、なんかビビッと来たっていうか」
「それってもしかして」
「うん、単なる一目惚れってやつ」
「…そっか」
「ちゃんとした理由もあるよ。りさのクールなところとかツンデレなところとか、あ!あとタラちゃんのモノマネも好きだよ〜」
「タラちゃんのモノマネって…」
「……でも、いちばん好きなところは私だけに優しいところ」
「えっ…」
「りささぁ、すごいモテるじゃん。寄ってくる後輩とか同じクラスの女子にはスンってしてるくせに私だけにはやけに優しいじゃん?」
「………ばれてた?」
「ばればれだよ〜あからさまに態度違うもん」


そう、私にとってねるは特別な存在なんだ。


「だからね、いつの間にか独占欲湧いちゃってさ。りさを他の誰にも渡したくないの」


そう言われ、抱きしめられる。


「お願い、私だけのものになって」


ねるの腕の力がより一層強くなる。


「ねる……ありがとう。嬉しいよ」
「っ…」
「ねる…?どうしたの…?もしかして泣いて」
「なんか…ない…っ」


えっ、やばいやばい。完全にねる泣いてる。なんで、どうしよう。


「ね、ねる…!泣かないでよ」
「っ…」
「なんで泣いてるの…?」
「だって……りさ…が……」
「私が…?」


げっ、私なんかやらかしたっけ…??


「最近、仲いい子できたでしょ……」
「……あぁ、あの子」
「だから、りさが…私から離れちゃうんじゃないかって……」
「でも、あの子は別にそんなんじゃ……」
「……」
「ねる……」


肩を震わせながらしくしくと泣いているねるを優しく抱き寄せる。

そんなに心配しなくても私にとって特別なのはねるだけなのに。ねるだけのことしか考えていないのに。


「…わかった。ねるから離れない。ずっとそばにいる」
「ほんと…?」
「うん、私がねるのこと守ってあげる」
「なにから?」
「うーんと、この世の悪から…!なんて……」
「フフッ、変なの」
「う、うん…自分でもなに言ってんだ…って思った」
「……りさ?」
「ん?」
「ありがと」
「うん」


そして、ねるのことをギュッと強く抱きしめる。絶対に離さないように。

あぁ、このまま時が止まってしまえばいいのになぁ。


「ねる」
「ん?」
「私もねるのこと好きだよ。こういう意味で」



そう、ねるに優しく口付ける。





END.



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