おはなし。

□はなせない
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いつからだろう、こんな関係になったのは


「まえの…まえの」
「たつ、たつっ…ん、ぁやっ」


手を痛いくらい握り締め、唇に触れ体を重ねあって名前を呼びあう度に心が跳ね上がる
その手が体が離れるだけで息が出来なくなるくらい苦しめられるようになったのは


「ふ、ぅ…た、つ…」


泣きじゃくって俺に縋りつく前野の頭を割れ物に触れるように優しく撫でながら馬鹿な事を考えた



『このまま、ここに閉じ込めて俺らだけの世界になればいいのに』





(それが出来るなら、こいつをこんな風に泣かせる事もなかったのに)
 

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