おはなし。

□ひとりじめ
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いつも通り仕事をこなしてぐったりとしながら家まで帰って、夜ご飯を食べ終えてあー明日はどうしようかと考えながらゆっくりと過ごしていれば突然前野が訪ねてきた


「かっきー、話聞けこの野郎」
「おいおい何があったんだよ、とりあえず入れ」


いつもより不機嫌な前野を家の中へ入れれば素早くソファに座って隣を叩いた、あーはいはい座れって事な。と思い隣に座った


「んで、何があったの」
「…この前の、オーディション落ちた」
「あー、やりてぇって言ってたやつか」
「そうそう、連絡きて落ちたって聞いてさ…ショックな事聞いて欲しかったから来た」
「はいはいはーい、でも落ちてもお前らしくそのキャラ演じれたんだから悔いはないだろ?」
「出し切ったし悔いはねぇよ、でーもーさー…ショックなもんはショックだし、もっと演じたかった」
「あーもう、グダグダ抜かしてっと襲うぞバカ」
「もー、好きにしろばーか」


などと話しながら肩に体預けてきて、冗談が本気になっちまうだろ。と笑って返せばそう言って本当に襲ったことないよね、と言われてしまって言い返せなかった


「でも、かっきーが話聞いてくれるから少し軽くなった」
「それならいいけど、そんな気にすんなよ」
「んー…うん」
「ねみぃのか?」
「なんか安心して、眠くなってる気がする」


いつの間にかうとうととし始めた前野を抱き抱えて寝室へと向かって寝かせれば


「かっきー…よーこ」
「はいはい、分かってるよ」


横に寝転んで、満足そうな前野の頬を引っ張ってみた。それでも表情が分からないから思わず笑った






(こうやって、ずっと俺の事を頼りにして)

(前野を独り占めできればいいのに)

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