おはなし。

□かくしごと
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放課後人通りの少ない3階の空き教室、勝手に鍵を使って開けておく。いつも通りに、その部屋で約束の時間が来るのを早く来ないかな、とドキドキと柄にもなく思いながら待って



コンコンコン、3回扉をノックして扉が開き中に入ってきた人は自然と鍵を閉めて
俺の大好きなせんせいが俺に近付いてくるのが、ゆっくりと見えて。ああ、かっこいいせんせいだ。と見惚れていると不思議そうな顔をするからやっと口を開いて



「…せんせ、お疲れ様」
「お疲れ様じゃない、また授業さぼってんじゃねぇーよ」
「だって、せんせいが居ないとつまんない」
「こらこら…だからってな、それだと卒業危ういだろ」
「卒業したくないもん、したらせんせいと此処で出来なくなっちゃう」



唇を尖らせてみると、全くしょうがねぇやつだなぁと笑ってくしゃくしゃと髪を撫でるその表情や仕草がもっともっと好きになる



「ほら、説教は後でいいから」
「急かすなよ、我慢できなくなんだろ」
「…我慢とかしてないくせに」
「はいはい、拗ねんのも終わり。な、翔太」
「ん…せん、せ」



『すき』


そんな言葉は吐息に隠した






(こういうことだけをする関係)

(好きだなんて言えないんだから)

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