*人魚姫の涙の意味は……*

□三章《ハッピーはきっと彼のためにある言葉》
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あの後、百さんは私を家まで送ってくれて、連絡先を書いた紙を渡してくれた。

有名人の連絡先なんてと改めて思ったが傘のこともあるし、断ることはできなかった。


すごい人と知り合いになってしまった……。
まだ実感のわかない頭で私はさっきの信じられない時間のことをふと思い出した。



え?本物?

そうスマホで打てば「もちろん」と笑顔で返された。

信じられなくてまじまじと見てみたが、やっぱりどこからどう見ても彼はRe:valeの百で、歌を好んで聞かない私でもテレビで知っている彼そのものだった。


信じられなくてぽけっとしていると、百さんにベンチに座るように促された。

目の前に見える光景は本当に綺麗で、そして隣にいる彼にも実感がわかなくて、いまだに動揺しまくりの私に百さんは車の中のように気さくに話しかけてくれた。


「あの時はごめんね、いきなり声かけてびっくりしたよね!? でもさっきもいったけどどうしても放っておけなくてさ!傘は返さなくてよいからよかったらそのままもらっちゃってよ!」


そんな!悪いですっ、今度返します!

そう返せば彼は少し考えこんだように黙ってしまう。
なにか気に障ることでも行ってしまっただろうか……。


「うーん、あ、そうだ!じゃあ返してもらおうかな!ただ俺今日は車の中に荷物いっぱいだから今度でもいいかな!?」


車……荷物そんなにあったけ?

すごく整理されてて綺麗な気がしたんだけど、目の前でだから連絡先後で渡すねなんていうからもう気にしないことにした。

ん?

それってつまり……


また私と会っていいんですか?


そう打てば彼は「あー、うん、いつでも!とは言えないけれどできればそうしたいと思ってるんだけどダメかな?」と聞いてくる。


あの百さんだ。

周りにばれれば大騒ぎになるし、何よりこんなお喋りもまともにできない人といてもなんにもならない……


「そんなことないよ、俺は君と話したくて声かけたんだから!」


何で私の思ってることわかるんですか?

そう聞けばモモちゃんはエスパーだからね!なんていわれてしまう。


「なんだかあの日の君、全然ハッピーじゃないように見えてさ、少し辛そうだったから。そんなに美人なのに笑ってなきゃもったいないよ!」


美人なんかじゃないです!!

そういったが彼はねぇねぇ笑って!なんていって目の前で変顔してくる。

あのRe:valeの百さんの変顔を生でなんて……逆に恐れ多くて笑えない……。

なのに百さんはすかさず次から次へとしてくるもんだから私は押し負けてとうとう吹き出してしまった。


「ほら!笑った顔すっげーかわいいっ!そっちのほうがいいよ」


やばい、全国のRe:valeファンに殺されてしまうかもしれない……。

テレビのイメージと一緒で本当に優しくて、面白い人なんだな……


「あ、そうだ!名前!名前教えてくれない??」


冬平柚葉です。とだけっスマホに入力した。


「柚葉ちゃんっていうんだね!それで……言いたくないならいいんだけどさ、柚葉ちゃんは何で喋れないの?」


確信をつかれ、私は返答に悩む。
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