*i7*

□*花言葉に想いを束ねて*
1ページ/3ページ


私の朝は表に看板を出すところから始まる。

たくさんの花たちに挨拶をしながらふと時計を見れば、いつもの時間になっていることに気付き、私は接客用のエプロンを身に着けた。

「おはよー!!名無しさんちゃんいるー!?」

「はぁーいっ、百瀬さん今日もいらしてくれたんですね!」


サングラスと帽子でよく顔は見えないが、この方は百瀬さん。

毎週水曜日と金曜日、開店の朝九時きっかりにやってくる常連さんで、いつも花束を買っていってくれるとても親切なお客様だ。

多分私と同じくらいか少し年上で、スタイルもよくてどこかのモデルさんなんじゃないかと個人的には思ってる。聞かないけど。

「今日は何にしますか?」

「ベゴニアって花ある?今日はそれで作ってくれると嬉しいんだけど」

「ベゴニアですね!ありますよっ、少しお待ちいただけますか?」

「りょーかいっ!」

私はお店の切り花からベゴニアに合う花を選んで包んでいく。
そんな私の手際をいつもよりまじまじと彼は見てくる、これもいつも通りだ。

「そういえば、Re:valeの新曲聞いた?」

「聞きました!!!!もう千さん本当にかっこいいですよねっ!!!」

「そうだよね!千さんすっごいイケメンだよねっ!」

私と百瀬さんが仲良くなった共通点はこれだ。
百瀬さんと最初に会ったのは本当に偶然、店の前を箒ではいていたらたまたま高そうな車がとまってそこから降りてきたのが百瀬さんだった。

「とりあえずバラの花束お願いしますっ!うんと大きいのっ!」

て言われて、彼女さんへのプレゼントかななんて思いながら包んでいれば、お店の奥にあるRe:valeのポスターに気付き、すごい勢いで話しかけてきたのだ。

「Re:vale好きなの!?」

「え、あ、はい、千さんのファンでライヴにはいったことないんですけど……いつも元気もらっています!」

一瞬固まった彼だが、すぐにRe:valeについて語り始め、それからは同じグループを好きなファン仲間としても仲良くさせてもらっている。

その日から毎週来てくれるのだが、いつもオーダーは大きな花束。

よっぽど彼女さんは大事にされているんだろう。

私には縁がない話だから正直羨ましい。


「なにかあった?」

「へ?」

「ほら元気ないからさ!どうしたのかなーと思って!」

「いや、百瀬さんと初めてあったときのことを思い出してしまって」

「名無しさんちゃんにそんなこと言われたら俺照れちゃうなー」

「またまた!彼女さんにばれたら怒られちゃいますよ!」
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ