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□* Are you happy now? *
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「和泉兄弟今日はありがとうねっ!こんなに頼りになって優しい後輩を持ててモモちゃんは本当にちょーハッピーだよ!!」
「いつも百さんにはお世話になっていますので!な、一織」
「そうですね兄さん……ですが本当にいいんですか?」
「何が?」
「私たちが何のためにここに呼ばれたか本当に分かっていますか兄さん」
「そりゃあ百さんの彼女への誕生日ケーキ作りの手伝いだろ?」
「……Re:valeですよ?あのRe:valeの百さんに彼女がいるなんて世間にばれたらどうなるかわかりますよね? ファンからしたら充分な裏切り行為にも成りえるんですよ?」
「でもばれないようにこうして百さん、誕生日ケーキも買いにいけないから俺たちを頼ってくれたんだろ。そりゃあダメなことかもしれないけれど、だからって恋愛は本人の自由だし、俺は素直に応援したいと思ってるぜ」
「三月……もう大好きだよぉぉぉぉ!!」
「ちょっと百さん!兄さんから離れてください!」
絶賛俺の自宅に何故和泉兄弟が来ているかって?
俺の彼女名無しさんの誕生日ケーキを作るためにわざわざ来てもらったのだ。
だってケーキ屋で名無しさんへなんて入れて作ってもらった暁にはどこでこの今まで隠してきた付き合いがばれるか分かったもんじゃない。
俺の事務所はやっぱり小さいし、何よりユキやおかりんに迷惑はかけたくないからね!
俺は料理なんてからっきしだから、実家が洋菓子店の和泉兄弟に来てもらったってわけ。
「とりあえず時間が迫ってますから始めましょうか百さん。一織もほらいつもお世話になってるんだから今日くらい目を瞑れよな」
「っ、わ、わかりました。それじゃあ百さん、とりあえずは計量からですね」
「りょーかいっ!」
彼女の名無しさんとはRe:valeになる前からの付き合い。
俺がRe:valeになるって言った時にはびっくりしていて、そのせいで一時期は別れ話まで出たけれどそれも愛を深めるきっかけになってくれたみたいで、今では本当に俺にとっていなきゃダメな存在。
ユキもオカリンも名無しさんのことは知っているし、反対もされてはいないんだけどやっぱりオカリンにはくれぐれもと日々釘を刺されている。
そりゃあファンの子たちに罪悪感がないわけじゃないし、きっとアイドルとしてはよくないことだと思う。
天に知られたら正座で説教コース確定だね。
Re:valeが有名になるにつれて会える回数も減って、今ではほんとうにたまにしか会えない。
きっとたくさん辛い思いをしてる……名無しさんは本当に寂しがり屋で、守ってあげたくなるような子だから。
「あ、百さん練らずに空気を入れながら混ぜるんです!こうやって……」
「おぉ!さすが!わかった百ちゃんもがんばるっ!」
「兄さん、型の準備しておきました。オーブンも温めておきますね」