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□*You're dyed in color*
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私は彼氏の存在を職場にも友達にも親にも教えていない。
別に教えたくないわけではない、思いっきり自慢したいときもあるがそれはできない事情がある。
私の彼氏は今日本で一番人気があるといっても過言ではないアイドルグループの一人、Re:valeの百だからだ。
百さんと出会ったのはもう三年前。
とある雑誌の撮影で一緒になったときだ。
たまたま道端でスカウトされた私は、ちょうどよいお小遣い稼ぎと思いそれを了承し、とあるスタジオに案内された。
そこでは次の号で表紙を飾るRe:valeが偶然撮影をしていて、もともとファンだった私は緊張して撮影でもがっちがちになっていて、撮影も全然進まず、もう帰りますと言おうとしたときだ。
「何君撮影初めて??」
少し休憩しているところに飲み物をもってきてくれたのが百さんだった。
ファンだった私はまともにお喋りなんてできなくて、なのに百さんは私の緊張を少しづつ解きほぐしてくれた。
その時に向こうから連絡先を交換しょうと言われて交換したのが始まりだった。
百さんのおかげで私は無事にその日撮影も終え、これをきっかけにモデルとしてやっていきたいと思うようになり、今ではそこそこ大きい雑誌の表紙を飾らせてもらえるようにもなってきた。
百さんに告白されたのは一年くらい前。
何度かお忍びでお出かけして、初めて百さんの家に遊びに行ったときに好きだと告白され、私たちは付き合うことになった。
最初は千さんともまともに話せなかった私だけど、今では一緒に料理を教えてもらう仲にまでなった。
憧れだったRe:vale。
あんなに遠く感じていたのになんだか不思議な気分だ。
百さんからの連絡は基本的に毎日来る。
朝起きた時と寝る前には電話もくれる、あまりお出かけはできないがそれでもたまにあって一緒にご飯を食べて、そんな些細な時間が私は大好きだった。
その日百さんからのおやすみの電話を待っていた、遅いときは零時を回ることもあったが、この日はそれでも連絡がこず、何かあったのか心配になったときだ。
私の電話がなり、私はとびかかるように出た。
聞こえてきたのはいつもの百さんの声、よりは幾分か暗い声だった。
「百さん、なにかあったんですか?」
『……名無しさん、ごめん』
何で謝るのだろう、そう思って聞こうとしたが続けたのは彼だった。
『俺達……別れよう』
そのあとのことはあんまり覚えてない。
分かるのは自分が振られたということと、もう百さんには会えないことだ。
百さんはやっぱり俺達一緒にいないほうがいい、本当にごめん今までありがとう、それだけいって電話を切ってしまった。
「何で……」
今朝まではふつうにおはようって、ラビチャも来てたし、お昼には千さんと一緒に食べてるランチの光景も送ってくれてた。
想像もしてなかった言葉に私は頭の整理が追い付かなかった
こういう時、誰に相談すればいいんだろう、千さん、いや彼には迷惑かけられない。
付き合ってるのを応援してくれるにしても、百さんの相方だし百さんは千さんが大好きだから彼に迷惑をかけて面倒な女なんて思われたくない。
そんな時だ。
私の携帯にラビチャの通知音が届く、もしかしたらと思い飛びついたが百さんではなく、最近一緒に千さんの家に行く三月からだった。
内容は次の千さん家で料理をする日取りの相談。
今度は百さんに食べてもらいたいからお菓子作りを教えてほしいって私がいったんだったけ。
つい今大丈夫かな、と送ってしまった。
三月は一つ年下だけど、いつも空気を読んでくれて初めて会ったときにもあの時の百さんのように私のことをリードしてくれた。
本当にお兄ちゃんみたいな人でこれまでも百さんへのプレゼント選びなどでもたびたびお世話になってる。
だけど彼だってIDOLISH7の一人、忙しいだろうに絶対迷惑をかける。
慌てて訂正の連絡をいれようとしたがそれより先に電話がかかってきた。
「もしもし、三月?」
『ちょっ、どうしたんだよ!名無しさん、泣いてるじゃねーか』