*i7*

□*Fascinated by the song*
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「名無しさんちゃんっていうんだ、良い名前だね!!」

「えっと、百さん本当に色々ありがとうございます、本当に夢みたいです。憧れの百さんと話せるなんて……」

「え?」


今、憧れって……


「あ、な、なんでもないです!忘れてください!!じゃあまた!!!」


ぱたぱたとかけていく彼女に、俺はしばらくその場を動けなかった。

結局ユキから電話が来るまでそこに棒立ちになった俺の姿は心底後輩ちゃんたちに見せられないなと後で思った……



後日、名無しさんちゃんはうちの事務所でデビューが決まった。

オカリンがそれはもう興奮していて、Re:vale以来の大物になるなんて豪語するくらいだ。

眼鏡はやめてコンタクトレンズにした彼女の瞳はやっぱりすっごく綺麗で、正直ほかのやつが眺めると思うとちょっとだけやっぱり嫌だった。

あの時彼女のことを地味とかいってたやつらも今の彼女を見れば一瞬でファンになるだろう。

とにかくこれからは事務所で少なからず会えるし、ご飯に誘ったりする口実もできたわけで……


「ねぇモモ……」

「どうしたのダーリン?」

「名無しさんちゃんてさ、もともとモモのファンだったらしいよ」

「え!?」

「Re:valeでデビューしたときに頑張ってるモモを見て勇気をもらったんだって。この間ご飯行ったときに楽しそうに話してたよ」

「え、ちょっ、それ初耳……て、いつの間に二人でご飯いったのさ!?」

「ん?この間」

「俺誘われてないんだけど!!」

「モモ、仕事でいなかったし」

「そ、そうかもしれないけど!!」


そんな二人で食事なんて……俺だって教えてもらえば絶対なにがなんでも仕事終わらせていったのに!!


「言ったらモモ、事故りそうな勢いで帰ってきそうだったから」

「う……」

「それより、そういうことだから」


そういうこと?


「頑張りなよ、応援してるからさ」

「ユキ……」

「早くしないとほかの人に……」

「ご飯誘ってくる!!!」


そう言って慌てて出てく俺を見てユキはきっと笑っているんだろう。

だけど他の男に撮られるなんて冗談じゃない、俺が先に見つけたんだから!!



「あ!百さん!」

電話しょうと思っていたら目の前からおかりんと歩いてくる名無しさんちゃん。

あぁ、今日も可愛い、なんてそれどころじゃない。


「ねぇ、名無しさんちゃん今日空いてる?」

「え?」

「良かったらさ、一緒にご飯でもどう?」


横のオカリンの目が痛い……でもそんなこといってられない!!

オカリン分かって!!と目で訴えれば、自分の立場を自覚して行動してくださいねという声が聞こえてきそうな目線で返された。


「すみません、それでは名無しさんさん、また明日、今度は音楽プロデューサーの方を紹介しますので」

「わかりました!ありがとうございました」


もう一度目線で念を押して戻っていくオカリンを目で追いながら、俺は続けた。


「ご飯、この間ユキといったんでしょ?俺とじゃダメ?」

「いやそんな!!全然そんなことないですっ!!!」

「じゃあ決まり!!俺も今日は夕方からオフだから!迎えにいくからまってて」

「あ、百さん!!」

「ん?」


振り返れば、顔を真っ赤にした名無しさんちゃんがいて


「今日、良かったらうちでご飯、たべませんか!?あんまり得意ではないんですが……」


え、それって……


「だめ、ですか?」

「ぜ、全然だめじゃない!!、むしろすっごく嬉しい!!!じゃあ楽しみにしてるから!!」



どうしょう、とりあえずこういうときはバラの花束でも持っていけばいいかな、いや、それはちょっと気障すぎるかも……

「と、とりあえず三月か龍に相談しょう!!」


やばい、嬉しすぎて俺どうにかなっちゃいそう。


そのあと、名無しさんちゃんの家に行って一緒にご飯を食べて、俺が告白して彼女が真っ赤にして頷いてくれて幸せな夜を過ごして……


家から出るところを週刊誌に写真を撮られて二人で(主に俺)がオカリンから大説教されるのはまた別のお話……



おまけ


「それでそれで!百さんどんな食べ物が好きなんですか!?」

「うーん、この間ローストビーフ仕込んだときは喜んで食べてたけど、基本なんでも食べるよ」

「ローストビーフですね!!ほかにも好きなものとか……」

「ねぇ、名無しさん。そんなにモモのことが好き?」

「え、ちがっ……くないですけど……私、百さんに憧れてこの道を目指せたから、ユキさんとこうして話せてるのも不思議なくらいです……」

「それ、モモに行ってあげたら喜ぶと思うけど」

「そ、そんな私なんて……まだ全然釣り合わないし、百さんは私の事なんて」

「そうでもないと思うからさ、思い切って料理とか作ってあげたら喜ぶんじゃないかな?」

「そ、そうですか……?」

「大丈夫だよ、思い切って誘ってごらん」

「ユキさんがそういうならがんばってみます!!」

「(さてと、あとはモモを焚きつけて……オカリン、怒るかな……)」





END


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