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□*仲直りはお早めに*
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あーぁ、メイク落ちちまうぞ、怒られるぞって思いながら、俺は自分より華奢なこいつを思い切り抱きしめた。
「嫌いになんてなるわけねーだろ。だ、大好きなんだから!!」
「三月……」
「活躍しているお前を見ているとなんだか寂しくなって、自分がとても小さくみえてさ……イライラして当たっちまってさ……悪いのは俺なんだ、だから、もう泣くなよ……」
「み、三月はさ……すごいよ、私いっつも三月がいるから頑張れるんだよ? 三月が頑張ってるから私も頑張ろうって思えるんだよ? 人を頑張ろうって気持ちにできる三月は私の憧れで、自慢の彼氏だよ」
「名無しさん……」
やべぇ、俺まで泣きそう……
「三月大好きだよ……」
「俺も、名無しさんのこと大好き」
そういえばやっと、名無しさんは俺の大好きな笑顔を見せてくれた。
その後……
「はいっ!番組も盛り上がってきたところで今売れっ子アイドルの名無しさんちゃんにモモちゃんから質問ですっ!!」
「はいっ、何でしょう!!」
「ズバリ!好きなタイプの男性は!?」
『え!?』
ついつい俺まで声を出してしまい、隣にいた一織に肘でつつかれた。
百さんを見るとそれはもう楽しそうにニヤニヤしてる、まさかこの人……
「きっとテレビを見てる男性諸君は絶対聞きたいと思うんだ!!だから俺が代表して聞いてみました!!」
客席から歓声が上がるあたり、彼女の人気ぶりが見て取れた。
「それでそれで!?」
「えっと……見ていて自分も頑張ろうって思えるエネルギッシュな人です。見ているとなんだか太陽みたいで、何かあっても全部吹き飛んじゃうんですっ」
やべぇ、顔赤くなりそう。
「へぇーなるほどっ!!」
百さんめっちゃニヤニヤしてるっ、やっぱ確信犯だこの人!!」
「じゃあさぶっちゃけ、ここにきているIDOLISH7の三月と一織、そして俺だったら誰が一番タイプ??」
これまた声をだしそうになるが、横にいる一織の無言の圧力に必死に堪える。
百さん、勘弁してくださいっ。いや本当まじで!!!
名無しさんなんて顔真っ赤でこっち見てくるし、百さんは意地悪そうにニヤニヤしてるし
「えっと、それは……」
「それはそれは!?」
俺まで生唾を飲んで構える。
「みんな素敵すぎてえらべませんっ!!!!」
顔を真っ赤にして絞り出したであろうその言葉に百さんは今にも爆笑しそうなのを必死でこらえて「えーずるいよー」なんて言ってる。
俺としてはそこは言ってほしかったような、言わないでほしかったそうな……複雑な気分だ。
だけどふと名無しさんと目が合った。
それですっごく可愛くはにかむもんだからもう抱きしめたくてたまらなくなって、それに気づいた一織にまた肘でつつかれるのは百さんにも内緒の話だ。
END