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□*やっぱり君には敵わない*
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「はーいっ!今日もお疲れ様でした!!ダーリンもお疲れ様!!」

今日も撮影が終わって、俺はスタジオをダーリンことユキと出ようとする。

今日の撮影も何も問題なかったし、いつもより夫婦漫才も冴えてた気もするし。


「ダーリン良かったらこの後一緒にご飯でも行く!?」

「んー、行きたいのはやまやまだけど、そろそろモモの浮気相手が来るころじゃない?」

「名無しさんなら今日は来な……」

「モモ!お疲れ様!モモリン飲む?」


突然横から差し出されたモモリンをつい、ありがとうと受け取って俺はびっくりした。


クリっとしたハニーベージュの瞳に、明るめのオレンジのショートボブ、そして見える大きなたに……じゃなくてっ!!!」


「名無しさん!!??」

「やっほー!モモ!三日ぶり!!」

「やぁ名無しさん、僕とは一週間ぶりだね」

「やほー!ユキ!!」

「じゃなくて!!だって三日前にヨーロッパに撮影で行ってたじゃん!!なんでいるの!?撮影だって昨日の深夜までじゃ」

「あれ?私モモに言ったけ?撮影スケジュールなんて」


言われてないよ!!だけどモモちゃんの情報網にかかればそんなのすぐわかるんだよ!!


「えへへ、モモに会いたくて特急で帰ってきちゃいました!!」

「ちょっ、昨日の撮影だってただでさえハードスケジュールじゃん!ちゃんと身体休めなきゃ身体壊したらどうすんの!!」

「でも、モモに会いたかったし……」


あーずるいっ!そんな顔でそんなこというのずるいっ!だいたい胸元空きすぎでしょその服!!他の男に見られたらどうすんのさ!!


「モモも、素直に名無しさんのことが心配だって言ってあげればいいのに」

「べ、別に俺は心配なんてしてないしっ!!ただアイドルとして仕事に穴をあけるようなことになっちゃだめでしょ!!ほら天に説教されるよっ!!」

「またモモはそうやってすぐ私のこと子ども扱いするんだもんっ!!」

「べ、別に子ども扱いなんてしてないしっ!」

「そうやってすぐムキになるしっ!紡ちゃんにはあんなに優しいのに」


そ、それはマネ子ちゃんは一応他のアイドルのマネさんだし……


「やっぱりモモはあーゆーふわふわってしててかーわいー子がいいんだ……」


そ、そんなこといったら名無しさんだって十分可愛いし充分タイプだし!!


「もーいいもんっ!せっかくきたのに!モモのばかっ!!」

「あ、ちょっ。まてよっ!!そんな恰好で……」


あっという間に走って行ってしまう彼女に俺はあーもうっと頭をくしゃくしゃにして、それを見ていたユキはいつものように困ったように笑っているのだった。




名無しさんは俺らと同期のモデルで、知り合ってまだ一年。

海外の雑誌にも引っ張りだこで、今の女子高生はみんな名無しさんに憧れるっていうくらい、すっごく可愛くてスタイル抜群な女の子。

天真爛漫で、俺は彼女の撮影を見学してから一目ぼれしてしまい、仲良くなろうと声をかけたのが始まり。


本当は早く告白して、早く付き合ってしまいたいんだけど、なかなか言い出せないうちに早一年。

あーゆー明るくて人懐っこいところが彼女の良いところなんだけど、いかんせん少し無防備すぎる。

あんな谷間の見える服とか着て、全然見られてるのも気にしてないし、モモーなんて俺のところに来るからちょっと期待しそうになるけど、普通に陸とか一織の頭をなでたり、一緒にスポーツしていったときは三月と龍と飲み物回し飲みしたり、ナギにもいつも口説かれてついていこうとするし……
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