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□*俺の可愛い妖精さん*
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「なんだよっそんな言い方しなくていいじゃん!!!」
「百だって!私のことなんにもわかってないっ」
「ただ名無しさんのことが心配なんだって!」
「心配することなんて何にもないって!ただ楽と買い物に行くだけだもんっ、自分の後輩疑ってるわけ!?」
「そ、そうじゃないけど!!一応万が一ってこともあるじゃんっ!」
「私のこと信じてないんだ!百なんて大っ嫌い」
「え、ちょっ、ま……!!!」
そういわれて電話を切られた俺は、無償にイライラして携帯をベッドに放り投げた。
喧嘩の原因は名無しさんの楽と二人で買い物に行くという話を聞いたからだ。
可愛い後輩だし、名無しさんのこと信じてるし、だけど俺達の仲を知っているのはユキとオカリンだけ。
モデルをしている名無しさんの写真を見て前に楽がすげータイプなんて言ってるのを聞いてしまったから心配でたまらない。
名無しさんが楽になびくとは思ってないけど、あの超絶イケメンの楽だ。
あんなのにエスコートされたら惚れないほうがおかしいって本当に思う、俺だって……いやさすがにダーリンと名無しさんから浮気はしないけど……。
しかも何で楽と……買い物に行きたいなら俺誘ってくれればいいのに……
カレンダーを見れば俺のオフの日と楽と出かける日の日付が被っている。
名無しさんには俺のオフの日をすべて伝えているはずだから絶対知ってるはずだ。なのに……。
「俺、何かしたのかな……」
嫌いと言われたらさすがの俺でもへこむ、だけどここで連絡してもどうせ切られてしまうのが目に見えてる、会いに行きたいが明日の仕事は早い。
さすがに万が一でも仕事にもユキにも迷惑はかけられない。
「むむむ、こうなれば……」
当日、俺はフードを頭まで被って、サングラスをして、龍から入手した二人の待ち合わせ場所にいた。
やっぱり気になるし、いくら楽でも名無しさんに手を出されるのは許せない。
変装は完璧、これで絶対ばれない。名無しさんのことを探す楽はいつものスタイリッシュな格好にサングラス、やばい、俺から見てもすっごいかっこいい。
何あの佇んでて絵になる感じ。ずるいよほら通る女の子振り返ってるじゃんっ。
「楽!おまたせ!!」
名無しさんの声がして俺は思わず声をあげそうになる。
ばっちりメイクして、普段ただでさえ可愛いのにさらに可愛いし、服だってふんわりしてて俺にまだ見せてない向日葵のスカートが眩しい。
ちょっとまって!!すげーお洒落してるじゃんっ、なんで!?ただ買い物に行くだけなんだよねっ
「ごめん服選びに時間かかっちゃって」
「俺もさっき来たところだから。その服すげー似合ってる」
「えへへ、ありがとう」
なにそのカップルの会話!本当に買い物だけ?デートじゃないの!?
「ほらいこうか」
「うん!」
二人で仲睦まじく歩いてく光景に俺のMPがぐんぐん減っていく気がする。
ついユキに電話をかければ、収録の休憩だったからか、すんなりと通話に出てくれた。
『やぁモモ。どうしたの?今日オフだよね』