*i7*

□*おはようもおやすみも君の側で
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「もうダーリン愛してるっ!こんなに愛されてモモちゃん幸せでどうにかなっちゃいそう!ユキからの愛をたっくさんいただいたところで本日のNEXTRe:valeは終了!また今度ねー!」


お疲れ様でしたー!と明るい声がスタジオに響く。

Re:valeの番組であるNEXTRe:valeは今日本でかなり視聴率の良い人気番組の一つ。

百さんと千さんの絶妙な夫婦漫才はもちろん、最近話題の新人アイドルなどを呼んで盛り上げていくトーク番組だ。

明るくて、気も使えてトーク力もある百さんはMCぴったりで、この番組のほかにもたくさんのバラエティー番組に出演している、そんな百さんに絶妙な突っ込みを入れる千さんは、ドラマなどに引っ張りだこ、しかも作曲まで手掛けているというのだから本当にすごい。

そんな二人で構築されたRe:valeは、私がずっと好きなアイドルグループの一つで、特にその中の百さんは昔からの憧れだ。

だからこそ、岡崎事務所に入社できた時には本当に飛んで喜んだ。

数年頑張ってやっとたどり着いた岡崎さんの補佐としてのお仕事。

前よりはずっと百さんとも千さんとも話せるようになったが、この気持ちだけはばれるわけにはいかない。

私はこうして、少しだけ遠目に見ていられるだけで満足すぎるほど幸せだからだ。


「お疲れさまです、百さん、千さん」

「ありがとう!!名無しさんちゃんもお疲れ様!」


ほら、そんな眩しすぎる笑顔向けてもらえる。
私のささやかな、それでいて大きな幸せの一つだ。


「あれ?おかりんは?」

「あ、番組のプロデューサーさんと話し合いをしているそうなので、今日は私が家までお送りします!」

「……名無しさんちゃん、ちょっと顔色悪くない?」


千さんに言われて、私は必至に誤魔化す言葉を探す。だけどそれを許してくれないのは百さんだ。


「まさか……もう何日寝てないの?」

「ま、まだ二日ですよ?」

「ダメだよ!寝不足は身体に悪いしお肌も痛んじゃうし。ちゃんと睡眠はとらなきゃ!!」

「百の言う通りだよ、この間もそれで説教したよね?」


うぅ、千さん怖い……


「名無しさんちゃんの作る俺たちのポスター本当にかっこいいし、本当に楽しみだけど夜はちゃんと寝なきゃダメ!」


百さんの言う通り、私はRe:valeの広報を担当していてビジュアルポスターなどを制作している。そんなに数がいるものでもないが、百さんや千さん、そして岡崎さんのために私ができることは限られているからどうしても何か頑張りたい。

そう思うとついつい朝まで作業してしまうのだ。


「頑張るのは大事だけどさ、昼の仕事に影響でちゃうのもよくないし、名無しさんちゃんの身体も心配だからちゃんと今日は寝てよね?」

「う、はい、百さんも千さんもご心配かけてしまいすみません。今日はしっかり寝ます!」


それならよしっ!そういって百さんは何か食べに行こうか?と食事のお誘いをしてくれる。

すごく嬉しいお誘いだけど私はこの瞬間だけどうしても好きになれない、何故なら彼は必ず携帯を取り出してこういうからだ。


「じゃあマネ子ちゃんにも声かけよっか!!」


マネ子ちゃんというのは、小鳥遊紡さん。今話題のIDOLISH7のマネージャーさんだ。

ふわふわしててすっごく可愛らしい人で、百さんの好きな人……。

本人から聞いたわけではないが、百さんはいつもご飯となると紡さんを呼ぼうとする、聞かなくても明らかだ。

百さんの特別になりたいわけではない、そんなおこがましいことは考えていないけど、やっぱり少しだけモヤモヤした気持ちになってしまう私は我儘なのかもしれない。


結局その日も紡さんを入れた四人でご飯を食べて帰路についた。
紡さんに笑いかける百さんの笑顔はとても素敵でそれが余計に私の胸をえぐった。

よく二人で電話もしているみたいだし、もしかしたら私が知らないだけでもう付き合っているのかもしれない。
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