*i7*

□*You're dyed in color*
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「えっと……」

『あーもう待ってろ、すぐ行くから!!』

「いやいいよっ!今日もう遅いし、明日も仕事だろうし……」

『名無しさんが泣くなんてよっぽどだろ、ちょっと待っとけ、ダッシュでいくから!!』


一方的に電話を切られてしまい私は悩んだが三月を待つことにした。


今はとにかく誰かに側にいてほしい、そう思ったから。



「百さん、何で……」


三月が来たのはそれから20分後のことだった。



「ようっ!」



インターホンがなって出ればそこには三月の姿。

片手にはコンビニで買ったであろうお酒が見えた。

ロックを解除して扉を開ける、そこで三月は少し決まづそうに頭をかいた。


「ごめん、よくよく考えたらこんな時間に、しかも彼氏でもない男が訪ねるとかダメだよな……そこまで頭回んなかったわ、百さんに殺される……」


「あ……」



百さんの名前が出て、私の目じりに涙がたまる。

何かを悟ったのか、三月の目が厳しくなった。



「もしかして、百さん絡み?」


「と、とりあえず、百さんならもう怒らないと思うから上がって?ね?」


三月を部屋に招きいれて、私は目元の涙をぬぐった。

三月が買ってきてくれたカクテルを開けて、一口含んで私は三月にさっきの百さんからの電話の内容を話した。

三月ははぁ!?と一瞬声を上げたが、最後まで私の話を聞いてくれて、終わって泣き出した私の頭を落ち着くまでなでてくれた。


「ありがとう、三月。三月が来てくれなかったら私……」

「何言ってんだよ!!俺は名無しさんのお兄ちゃん代わりだからな!それより、あの百さんがねぇ……」

「理由も何もいってくれなくて……百さんやっぱり私なんて嫌いになったのかな」

「そんなわけねぇって!!百さん名無しさんのことすっげー大事にしてたし、何か理由があるんだよ」


三月の言う通りかもしれない。

百さんは電話口でもすごく辛そうだった。

今にも泣きそうな声で、明らかにいつもの百さんじゃなかった。

だけど……


「そうかもしれない、だけど、やっぱりそれでも私が百さんを苦しめてるのかもしれない、だからやっぱりもう忘れることにするよ」



「名無しさん……」



「百さんのこと忘れることができるかわかんないけど、でも百さんにはいつもハッピーでいてほしいから。みんなのRe:valeとしてこれからもたくさんの人をハッピーにしていかなきゃいけないから」


無理して笑ってるのに気づいているのにそこに突っ込んでこない三月の優しさが今は嬉しかった。


ほらせっかくだし飲もう飲もう!そういえば「おう!」といって付き合ってくれる。


そのあとも私が眠くなるまで三月はたくさん楽しい話をしてくれて、少しの時間でも百さんのことを忘れることができた。



朝起きれば毛布が掛けられていて、丁寧に朝ごはんまで準備されていた。

テーブルのメモには「いつでも連絡しろよ、飛んでくるから!」と書いてあるのが三月らしかった。


「三月、ありがとう」



三月の作ってくれた朝ごはんを食べて、私は撮影に向かった。

今日は前から話にもらっていた大きな雑誌の表紙の撮影。
オーディションは受けず、向こうから直々の指名だった。

百さんのことでまだ気持ちは晴れないけれど、仕事は仕事だ。


「名無しさんさん、それでは事前に打ち合わせた通り、テーマは芯の強さ。好きに動いてね!」



「はい、わかりました!」




渡されたのは白いワンピース。

そういえば百さんがよく白が似合うっていってくれてたな……、思い出さないようにしてたのに。

撮影が始まる。

カメラの撮る音、光、それらに合わせてポーズをとる、のに、身体が思ったより動かない。

表情が硬いのも自分でわかる。

カットの声とともに、撮影が止められてしまう。



「どうしたの?表情硬いよね? スケジュール的に今日撮ってしまわないと困るんだけど……」



「すみませんっ!!本当にごめんなさい」


「やっぱりまだ早かったんじゃない?」
「あの子まだ経験浅いしね、何かコネでも使ったのかな」


周りから聞こえる辛辣な声。
仕事だからしっかりやろうと思ってたのに、全然できてない自分が情けなかった。

撮影スタッフさんもどうしょうか話してる、この仕事降ろされちゃうのかな。
今の私は百さんに振られて自信なんてない、女性の芯の強さなんて表せるわけがない。

「あの、私……」

「隣のスタジオにRe:valeさんとIDOLISH7の皆さん入ります!!」
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